|
久保田 陽彦さん |
− 会頭に就任され約4ケ月、4月からの消費税8%の影響は。
久保田 来年10月にはさらにアップすると言われております。これまでの導入時と同じような痛みを蒙るかもしれませんが、厳しいとか苦しいといってもそれは受け入れざるを得ない。その上でどうするかでしょうね。昨年、大崎前会頭時代に市民の消費購買力低下をできるだけ少なくし、地元経済に元気を持ち続けてもらおうと「かまくらプレミアム商品券」を発行し、この4月からも販売します。まずはこうした努力を積み重ねることですね。
− ところで、お父上の久保田雅彦さん(第6代会頭、現名誉会頭、豊島屋会長)と同じ54歳での就任ですね。
久保田 そうなんですよ。まだ早いと言ったら、「お父さんも同じ歳に就任されたんです」と口説かれ、びっくりしました(笑)。
− あらためて商工会議所の役割については。
久保田 地元経済の活力を高め、賑わいのあるまちをつくる。鎌倉に住む、働く、訪れる人すべてが笑顔になる、そんなまちづくりに取り組むこと。そのために会議所は、会員たちを結ぶ役目はもちろんですが、市民、行政などを結ぶ役目を担っているのだと思います。
豊島屋は鎌倉で生れ育った会社、いつも地元への恩返しを思ってきたのですが、会頭というお役目を頂戴したことで一会社を超えた立場で実現できる。有難いなと思っています。
− 世界遺産登録は再挑戦ということですが、鎌倉には年間2000万人の観光客が訪れる、この観光都市としての鎌倉をどうとらえますか。
久保田 初めに世界遺産登録ありきではなく、世界に対して恥ずかしくないまちづくりをしないといけない。インフラの整備はまだまだですからね。
鎌倉の観光客数は変わらないと言われますが、私はそうは思いません。いつ少なくなるかという恐怖心を持っているんです。ですから、何度も来たくなるまちにするために環境づくりに絶えず取り組んでいかなければと思っています。
− 鎌倉は滞在型ではなく日帰り客が多い。ということはリピーターをいかに維持し増やすかですね。
久保田 そう。現に、80%以上がリピーターで、宿泊率は2%に満たない。鎌倉の夜は人がいないといわれますが、私自身は宿泊にこだわる必要はないと思っています。
それより日帰りに特化したまちをつくったらどうでしょう。
横浜のホテルがオリンピックに向けてリニューアルするという記事が出ていましたが、横浜から足を延ばして鎌倉に行こうとなればいい。東京オリンピックでは外国のお客様が訪れたくなるまちにしていけたらと思うんです。
− 大切なのはおもてなしの心?
久保田 そうですね。ホスピタリティというのはまちを知ることによって生まれてきます。鎌倉は廻ろうとすると面白いところがたくさんあります。私ども商人も、聞かれたら答えられるようにならないとね。鎌倉検定はまさにそのためにあるわけで、どれだけ知っているかということよりおもてなしの一環であって、それがウエルカム鎌倉につながるのです。
− 昨年、鎌倉の3つの海水浴場のネーミングライツを取得し、「鳩サブレー海岸」にしないと言われましたが。
久保田 はい。現在、愛称とロゴデザインを公募しているところなんです。
− そして、二の鳥居そばの浅羽屋の跡地にも新店舗をつくられる。
久保田 浅羽屋さんからお声をかけていただきましてね。実は、私は長年やってみたかったことがあるのです。当社は鳩サブレーを売っていますが、基本は和菓子屋です。ところが和と洋では暦が違います。和は雛祭りとか端午の節句、洋はバレンタインデー、クリスマスなどですね。それが一緒になっていると日本の良き風習、演出がおろそかになってしまう。そこで和菓子と洋菓子を本店だけは分けてみたい。浅羽屋さんの跡地には洋菓子の専門店をつくる計画で、来年開店で進めております。和と洋、お互いが切磋琢磨し相乗効果が発揮できたらと思うんです。
− 社長業、会頭職ともに多忙の年となりますね。
久保田 忙しいとは感じていませんよ。鎌倉は元気だよねといわれる、そんなまちにしたいですね。私は仕事は楽しくというのがモットーです。会社も会議所も楽しんで仕事ができる、そんな環境のなかで元気なまちづくりに取り組んでいきたいですね。
|