代表的な大腸の三つの病気
Q
便秘で悩んでいる人は多いですね。
A 約半年、下痢や便秘を我慢していたら進行大腸がんで肝臓に転移し手遅れの方もいます。
もっと早く内視鏡検査(大腸カメラ)を受けていたら……と残念です。
Q
とくに便秘はよくある症状なので受診するほどではと考えてしまいますが、下痢や便秘が続く時は大腸がんを疑うということですか。
A 他にも炎症性腺疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)や過敏性腸症候群があります。いずれも近年増えている疾患で、その中でも命に関わるのが大腸がんです。
大腸がんでは腸管の壁の一番内側の粘膜にイボやコブのようなものができて、腸が狭くなり通過障害を起こし便秘となります。浣腸で症状がとれても、半年後に大腸カメラで検査したら大腸がんが肝臓や肺にまで転移し打つ手がないというケースもあり、便秘だからと侮ってはいけません。
医療費が一番安い大腸カメラで治療の時期
Q
早期発見の一つが検便ですか。
A はい。検便(便潜血検査)で陽性になると、大腸カメラによる精査をします。当院は、解像度が非常に良く、拡大でき、粘膜の異常を明確に発見できる新機種を導入しています。がんやその他の病気の診断にも威力を発揮し、患者さんもラクです。
医療費の面からも、大腸カメラで治療できる段階での早期発見が安価と考えられます。次は手術、遠隔転移した進行がんになると抗がん剤による治療費が半年で約数百万円かかります。
なぜ、現代病? Q
下痢が主な症状の病気は。
A 炎症性腸疾患で、そのなかでも今増えている潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にただれや潰瘍などの炎症が起こり、徐々に下痢、下腹部痛、粘血便、発熱の症状がひどくなる、炎症が治まったりと経過の長い難病です。
原因は体の中にある免疫システムが過剰に反応して自分の腸の粘膜などを攻撃するためです。
過敏性腺症候群も下痢が主な症状ですが、便秘型もあります。
大腸の働きが悪く便通異常を起こすのですが、いずれも腸管には大脳や自律神経とつながる神経細胞がありますから、ストレスや腸内細菌叢の変化がこういった病気を増やすのではないかといわれております。
長い間、和食になじんできた腸内細菌叢が食生活の欧米化や、動物性脂肪の多い食事、漬物や根野菜といった食物繊維の少ない食事、さらに、世界各国から入ってくる食材など食の環境変化についていけずにあらわれる症状から、現代病といわれるわけです。 Q
腸を健康に保つ特効薬はないのですか。
A 対症療法としては良い薬が出ています。
それに腸には病気に対する免疫系の細胞が50%も集まっていますから、腸を健康にすることでいろいろな病気が予防できます。詳しくは3月28日の講演会では、その辺を詳しくお話しますので、ぜひお出かけください。
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