2012 2012 2011 2011  
   NO( 〜186) NO (185 〜176) NO (175〜166) NO (165〜156) NO (155〜146) NO (145〜138)  
 
 
NO.145号掲載  
 

インターフェロンが主役の原因療法

 C型肝炎の治療は大きく原因療法と対症治療に分かれます。
 原因療法とはウイルスを体内から完全に排除することを目指し、ウイルスがいなくなれば肝炎は消退し、肝硬変に近くても肝機能は正常化します。ウイルスを排除する方法としては依然としてインターフェロンが主役で、この20年の間に治療効果、副作用の点で大きく進歩しました。以前は治らなかった方でも新しい方法でウイルスが消える方も沢山います。また以前はインターフェロンに適するのは65歳ぐらいまでといわれましたが、最近では70歳を過ぎても治療する患者さんも増えてきました。
 インターフェロンは抗がん剤という印象がありますが、もともとヒトの体にあるもので、感染肝細胞内でのウイルス増殖をブロックするばかりでなく、感染していない細胞への移行を防ぐ、体の免疫細胞を刺激してウイルズを排除するなどの作用があります。
 また最近では、リハビリンという経口抗ウイルス剤と持続型インターフェロン(ペグインターフェロン)の併用で60%近くの方のウイルスが消えています。
ただしインターフェロン投与中は血液中のウイルスが消えたように見えて、投与を止めるとまた出てくる場合も多く、これは患者さんのウイルス排除能(免疫力)が落ちていたり、インターフェロンの反応が弱い体質のためです。このような方にはリバウンド療法など他の方法も行われます。
 一方、インターフェロンはウイルスを排除するばかりでなく、肝炎を沈静化する作用もあります。つまり治療後ウイルスは残っても、肝機能は何年も正常化する方が15〜20%います。そうなればウイルスが消えなくても肝臓病の進行は止まりますし、発がんの危険頻度も低下します。ですから最近専門医の間では、その患者さんの肝炎の状態、年齢、性別、体質、ウイルスのタイプや量などによって、インターフェロンの治療適応や治療目的、投与方法などを工夫した、個々に合ったテーラーメード治療が推奨されています。

難治性肝炎の最新治療法とは

 慢性肝炎から肝硬変に進行すると、血小板や白血球が減少してインターフェロンが満足に使えなくなり、治療の大きな妨げになります。血小板が減るのは直接には肝臓のせいではなく、門脈という血管で肝臓とつながっている牌臓が腫れ、その働きが増し(牌機能項亢進)、血小板や白血球を過剰に破壊して血球減少の原因となります。
 この腫大した牌臓に対し、以前から部分牌動脈塞栓(PSE)といって、牌臓の動脈にカテーテルを挿入し血流を落とす方法がありました。しかし以前は発熱など副作用が強くとても使い物になりませんでした。そこで私達は10数年来、安全かつ効果的なPSEの開発に取り組み今では殆ど副作用なく目的を達せられるようになりました。
 その結果、インターフェロンの治療ばかりでなく、肝がんのラジオ波焼灼など、いろいろな治療が安心して行えるようになりました。このPSEの恩恵を受けている肝硬変患者さんも年々増え、当院の消化器肝臓病センター開設以来10年で200例近くとなりました。そのなかでインターフェロン治療を行った患者さんが約欄例で、ウイルスが消えた方は4人に1人(25%) います。
 ウイルスが消えなくても、肝炎の鋭静化や静脈癌など合併症治療に役立った患者さんは約半数であり、さまざまの効果が得られています。この牌動脈塞栓は、昨年から肝臓病学会の難治性肝炎治療ガイドラインにも取り上げられています。

対症療法は肝炎の鎮静化を

 さて原因療法に対し対症療法というのは、インターフェロンが不向きな方や高齢者、その他の事情で抗ウイルス療法が適さない患者さんに対して行われ、肝炎を鎮静化し病気の進行を抑えるように管理するものです。
 代表的なのはウルソの内服や強力ネオミノファーゲンCの静脈注射や漢方薬などです。
 また最近では除鉄療法が注目され、難治性の患者さんの3分の2に効果があると思われます。
 肝臓に必要以上の鉄分が溜まると肝臓に障害を与える物質を産生するので、まずは食事中の鉄分を控えます。その後、2〜4週に1回200〜400mlの瀉血(献血と同じく血液を抜く)を行い、貧血にならない程度に血中の鉄(フェリチン)を下げます。すると鉄の低下に応じてGOT・GPTが低下し、良く効く方は正常値にまで低下します。
 ただし貧血の方が鉄を控えるのはかえって肝臓にも悪く、自己判断は禁物。専門医の指導のもとに行われるものでしょう。

遠隔転移は少ない肝がん

 C型肝硬変になると、年率5%程度に肝がんの発生がみられます。
 ただし肝がんは、がんとは言っても他の胃がんや肺がんとは違った特徴があります。その一つは、初期のがん紺胞の悪性度は低く、遠隔転移などは稀です。
 肝硬変状態の中にがんの種″がポッポッと発生し、ある時期、ある年代になると同時に、または順番に大きくなる(多段階発育)のですが、それがエコーやCTで捉えられます。ですから一つ一つのがんの種はつぶすことはできても、肝臓全体ががんの種のような状態になっていると、何度も治療を要するのも肝がんの特徴です。
 画像診断はこの10年間で飛躍的に進歩し、特に10年ほど前から行われている血管造影CTでは、通常のエコーやCTでは殆ど見えなかったがんの種″が検出され、その時の驚きは今も忘れられません。当院では、この血管造影CTと塞栓療法を行いながらのラジオ波焼灼も行い、短時間で高い根治効果を上げています。また、1、2年前に開発されたプリモビスト(造影剤)MRも優れ、これまでどの画像でも検出できなかった早期がんが検出される可能性があります。
 最後にもっとも新しい治療法として、肝がんに対しピンポイントで照射する定位放射線療法も期待されています。肝がんは放射線に感受性が高いため、ラジオ波焼灼の不向きな部位や手術のできない患者さんにも副作用が少なく、数回の治療で良い成績が得られています。
 いずれにしろ専門病院での肝がんの治療は、今や内科、外科、放射線科を問わず、患者さんに合った特殊治療の組み合わせ(集学的治療)が行われるようになっています。

 
NO.144号掲載  
 
長引くカゼは早めにレントゲンを

Q 長引くカゼは要注意ですか。
 はい。カゼ薬を飲んで3日経っても症状がとれない、熱が出たなどの場合はレントゲンを掘ってください。
 肺炎診断の決め手はレントゲン写真で、肺に空気がたまっていたり、炎症で浸出液や疾(たん)が肺にたまると]線が通りにくいので白っぽく映りますから。
Q 気を付けたい典型的な症状とは。
 まず、熱が出て、咳(せき)とともに痰が出て、胸が痛い、息苦しい、だるいなどの症状が組み合わさって急激に症状が出ます。
 しかし、年齢や基礎疾患の有無で必ずしも典型的な症状が認められるとは限りません。
 たとえば、高齢者では、肺炎の症状が潜在性であったり欠如したりすることがあります。食欲があまりない、いつもより元気がない、口数が減るなどの場合は、肺炎を疑う必要があります。
Q 一人暮らしのお年寄りなどは症状を訴えられない。
 そうですね。 どんな症状がいつごろから出て、どうなったかという情報はとても大事なんですよ。

肺炎の原因は

Q 肺炎とは大病の合併症ですか。
 肺炎は市中肺炎と院内肺炎に分類されます。後者は何らかの基礎疾患を持ち入院中の方に合併して起こる肺炎で、入院後備時間以降に発症し たものと定義されます。
 市中肺炎には細菌性肺炎と非定型肺炎に分かれます。前者の原因となるのが肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、クレブシェラ、レジオネラなどの微生物です。
 肺炎はこうした細菌が肺に入って炎症を起こしたもので、肺炎の多くはカゼや気管支炎の炎症をこじらせたものです。

肺炎の治療と予防は

Q まっ白になった肺は元に戻せるのですか。
 現在は抗生物質が進歩しているので、肺が白くなっているからと絶望的になることはありません。片側の肺が3分1以上おかされると重症です。抗生物質で菌を殺す治療を行います。
 とはいっても予防に勝る治療はありませんから日常生活では手洗い、うがい、マスク、口腔ケア(歯磨きを励行してロの中を清潔に)などで感染経路をさえぎり肺への病原体微生物の侵入を抑える対策が大事です。
 特に高齢者、脳梗塞や認知症などで、ノドの筋肉がマヒしていたりするとノドの働きがスムースにいかず飲食物が気管に入りやすいので注意が必要です。
 何といっても、個人の抵抗力を増強するのが一番の予防です。
 
     
NO.143号掲載  
 
軟骨細胞は再生しない細胞

Q ヒザが痛い、股(こ)関節が痛いなどで、立つ、歩くといった日常動作が困難になるというのは。
 変形性関節症です。立つ、歩くといった動作には体重以上の力が加わります。その衝撃を吸収して体重を支えているのが軟骨なのです。
人間の体は関節の部分で骨と骨がすり合います。そのクッションの役目をするために関節軟骨(以下軟骨)の表面はツルツルで、関節を包んでいる滑膜からは潤滑油も出ています。 ところが、その軟骨の細胞は再生しないために、年齢とともに摩耗し、滑りが悪くなる、陥没するなど軟骨が変形してしまうのです。

Q ヒザや股関節にトラブルが多いのは、それだけ負担がかかりやすいためですか。
 そうです。体重が多いと股関節に負担がかかるし、正座やスクワットなど体重を乗せて強引にヒザを曲げたり、バレーボールやサッカーなど飛んだり跳ねたりして瞬間的にヒザに負担がかかる運動は軟骨を痛めます。ある程度進行すると変形性関節症となり痛みが出てきます。

保存的な治療法は

Q 軟骨は大事に使わなければいけないのですね。軟骨にいいということでグルコサミンやコンドロイチンなどの健康食品も出回っていますね。
 はい。効いたという体験談はあっても科学的に証明されているわけではなく、私はおすすめしません。
それよりも、ヒアルロン酸のヒザ関節内の注射の方がすぐれています。
ヒアルロン酸はドロドロとしたゼリー状で、潤滑性があり、骨と骨の摩擦をやわらげ、軟骨の摩耗を軽減でき、骨細胞に栄養を与えたりすることで関節の変形を止めることができるからです。 痛みがとれる、歩き出しや階段が楽になるということで、何年も注射されている患者さんもおります。連用による副作用の心配もありません。

Q やはり体重を減らして負担を軽くするのが一番なのでしょうが、なかなかやせられない。
 体重を減らすことも大切ですが、ヒザを 支えている筋力が落ちてくると、ヒザがグラグラと不安定になって軟骨の摩耗が早まります。特に太ももの筋肉を強くするせヒザのぐらつきが軽減されヒザが逢します。
水中歩行やサイクリングなどヒザに負担をかけない運動や、短い距離の散歩などはおすすめです。

人工関節というより人工軟骨のイメージで

Q O脚になってヨチヨチ歩きになるほど進行してし事つと手術ということに。
 そうですね。保存療法で症状が改善しないほど軟骨の変性が進行したら、人工関節を埋め込む手術をします。
術後は痛みが消え、足もまっすぐになり、歩行能力もアップします。寝たきりになることも防げますしね。
手術した方で、ショッピングや旅行を楽しめるようになり、もっと早く手術すればよかったとおっしゃっていました。

Q 昔は、股関節に近い大腿骨の骨折や、変形性股関節症は寝たきりになり命とりの病気と恐れられていましたが。
 人工骨頭や人工関節の治療は非常に進歩し、10年前とは様変わり。今や高リスクの手術ではなくなりました。
皆さん、人工関節というと、関節を全部取ってロボットみたいな人工の関節をはめ込むイメージを持っているようですが、実は悪い軟骨を全部きれいに削って、薄い卵の殻のようなチタンやコバルトクロムなどの金属をはめ込むのです。
チタンなどは骨と良くなじみ、軽量で、長期に使っても摩耗したりしません。機材や装置も性能が非常にアップし、小さな傷で手術できるようになりました。

クリーンな手術室で安全な手術を

Q 人工関節置換手術で最も気をつけておられることは。
 感染症です。この手術をされる方は70代が多いのですが、人工関節は人間の体に金属などの異物が入るわけで、周囲の抵抗力も落ちています。そのような状態で、人工関節が入る場所に細菌などが入ると、抗生物質を投与してもなかなか沈静化しない。こうした感染を避けるため、この手術は清浄度の高い、いわゆるバイオクリーンルームであることが要求されます。
そこで、当院では12月よりバイオクリーンルームを開設します。 また、4人の専門医がチームを組み迅速な手術を行い感染率を下げるために努力しております。

 
NO.142号掲載  
飯野光治先生
飯野 光治先生
聖テレジア病院
神経内科部長
鎌倉市腰越1−2−1
TEL0467−32−4125

Q パーキンソン病の典型的な症状は?
 初期の段階で一番多い症状は手のふるえ(振戦)で、動作時ではなくて安静時に片方どちらかの手がふるえ、その後動作が緩慢になり、声が小さくなったり、表情が乏しくなる。さらに手を振らずに小刻みに歩くという特徴的な歩き方が出現します。これらの運動障害がこの病気の基本的な症状です。
 ところが最近ではこうした運動障害は氷山の一角で、認知機能や自律神経機能を含め様々な影響が出ていることが明らかとなりました。例えば臭いが分かりにくくなったり、便秘や起立性低血圧などの自律神経障害、また抑うつなどの気分障害が何年も前から隠れていることがあります。
 この病気は急に進行するわけではなくゆっくり変化していきますが、その状態に応じた対応がとても大切です。最近では次々に新しい薬も開発され、手術も保険適用になるなど、より専門的な判断が重要です。

Q 原因は何ですか?
 直接の原因は不明ですが、脳の黒質といわれる所のドパミン性神経細胞が変性(細胞が働かない、あるいはその死)を起こし、神経系の伝達がうまくいかないために運動障害が発生してくるのです。
 しかし、振戦や動作緩慢、歩行障害などのパーキンソン症状の一部は、脳卒中や本態性振戦など他の疾患でも見られ、抗精神病薬などの副作用で出現することもあるので、鑑別が大事なのです。

Q どのようにして診断するのですか。
 診断で一番大事かのは、症状と経過です。ドパミンが分泌されにくくなっているので、ドパミンを補う治療を試みて症状が改善されればパーキンソン病の可能性が高い。しかし、症状がなかなか改善しにくい場合は、他の疾患かもしれません。いずれにせよ、発症早期に頭部CTやMRIなどの画像診断を行い専門的に診断してもらう必要があります。
 最近は、診断が難しい例では心シンチグラフィ(核医学の一種)の画像診断でパーキンソン病を正確に診断することができるようになったのも大きな進歩です。

Q 治療はドパミン系の内服薬で症状を改善する丁とが目的ですか。
 もちろん症状を改善し仕事や生活への影響を減らすのが目的ですが、同時に病気の進行を抑制することが大事であり、そのために適切な治療法を考えます。具体的には、レポドパとドパミンアゴニストといわれる2種類の薬が中心となりますが、その他にも補助的な薬が様々あり、新薬も開発されています。
 パーキンソン病の発症は50〜70代の方が多く、経過が長い病気ですから、どの薬物をどのタイミングで開始するかの判断や細かいさじ加減が大事です。

Q 手術をする、しないの区別はどこに。
 症状の変動が目立ち、薬だけではうまくいかない方が対象となります。脳深部に電極を埋め込んで神経細胞を電気刺激して、異常な神経回路を改善させるものです。一部の方にはとても有効であり、治療の選択肢が広がりましたね。

Q 聖テレジア病院では回復期リハビリテーション病床が95床もあり力を入れていますが、パーキンソン病の患者さんも入院されていますか。
 はい。リハビリテーションも大事な治療だと思います。運動障害が目立つ方に歩行訓練や生活訓練などを行っていますし、細かい内服薬の調整も行います。
 また囁下(えんげ・飲み込み)能力の低下で囁下性肺炎のリスクが高まる方に対しては、囁下造影を行い評価した上で、胃ろうを造設する(胃へ直接チューブを挿入)こともあります。
 適切な治療法と総合的な対応で長期的に生活の質を維持していくことが大切と考えています。

 
NO.141号掲載 思春期のワクチン接種と検診で予防  
平手郁美さん


 20代、30代の若い女性が発症するがんの中でトップが子宮頸がん。更年期以降のホルモンバランスの変化や生活習慣病が引き金となる子宮体がんと異なり、子宮頸がんは発がん性ウイルスの感染によって起こる。
 鎌倉市は、女性の健康と、出産という選択肢を失わないためにも免疫を獲得することに意義があるとし、県内初のワクチン接種の助成に踏み切った。

ワクチンとは予防接種に使う薬

 まず、ワクチンとは、インフルエンザやはしかなど感染症の原因となるウイルスや細菌などの病原体、毒素の力を弱めて病原性をなくした薬液のことです。このワクチンを体に接種して、その病気に対する抵抗力(免疫)をつくるのが予防接種で、体に侵入してきたウイルスや細菌などの異物の特徴を体が覚え、実際に異物が体に侵入した際にその異物に合った抗体を産出し、異物の感染を防ぎ、排除する働きをするのです。

子宮頸がんの主な原因は

 子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、性交渉による皮ふと粘膜の接触で感染します。HPVは、性交経験のある女性の80%は一生に一度は感染するというごくありふれたウイルスで、女性なら誰でも起こりうる病気なのです。
 ところが、HPVの中でも16型、18型は、子宮頸がん発症の20、30代女性の70〜80%に見つかるので、発がん性HPVと呼ばれます。

発がん性HPVを予防するワクチン

 発がん性HPVは、感染してもほとんど自然に排除され、子宮頸がんを発症するのは0・15%と推定されているのですが、何度でも感染するので安心できません。
 しかも、発がん性HPVの感染から子宮頸がんの発症まで数年から数十年かかるといわれ、子宮頚がんの初期はほとんど無症状なので気づかぬままに発生・進行していくのです。
 性交渉後の出血やおりものの異常、月経以外の出血、下腹部痛や腰痛などは、すでに進行がんの症状なのです。
 20、30代の子宮頸がんが急増している今、海外では100か国以上で12歳前後を中心にワクチン接種が行われています。 予防接種は、腕に接種します。
 ワクチン接種(初回接種、・初回接種から1カ月後、初回接種から6カ月後の合計3回の接種)で、子宮頸がんの発生や死亡を7割減らせるというデータがあります。しかし、すべての発がん性HPVの感染を防ぐものではありませんから、定期的な検診を組み合わせることによって子宮頸がんをほぼ予防できます。
 思春期のワクチン接種はその点からも大いに意義があるといえます。

ワクチンを接種後、注射した部分が腫れたり痛むことがあるのは、体内でウイルス感染に対して防御する仕組みが働くために起ります。通常数日間程度で治ります。

 


 
   
NO.139号掲載  
   
手塚奈央子さん
手塚奈央子さん
   平成20年より老人保健法による基本健康診査 (市民健診)がなくなり、40歳から74歳まで義務づけられたのが特定健診。
従来の市民健診は、病気の早期発見をめざしていましたが、特定健診は病気にならないための健診で、メタボリックシンドローム(以下、メタボ)に特化したものです。

運動と食事は

メタボだって良いでしょう!ではない理由

 メタボとは、お腹の腸間膜にへばりついた内臓脂肪のこと。おすもうさんや女性に多い皮下脂肪より体全体に悪影響を及ぼします。
 内臓脂肪がたまると血圧を上げる、血糖値を上げる、コレステロールや中性脂肪値を上げるといった物質をどんどん出し、血管を硬くして狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こすことがわかってきました。
 そこで、特定健診には保健指導がセットされ、メタボ該当者・予備軍に教育的指導を行い、病気になる前に脱メタボを目指そうということです。
私は、一に運動、二に食事の改善、そして、禁煙を勧めています。生活習慣が改善され適正体重が維持されることが根本的な解決策なのです。

でも…… どうしたらいいの?

 まず、やせることです。
 やせる基本は、摂取エネルギーと消費エネルギーの収支をマイナスすること。体重1kg(腹囲1cmに相当)の脂肪は、7、000Kcalに相当し、1日に用Kcalマイナスにすると、単純計算で50日間で1kg1年間で7・3kgも減量できることになります。
 体脂肪は20〜30分運動すると燃焼しますが、30分の運動時間がないから止めた!ではなく、コマメに体を動かす習慣でやせやすい体づくりをしましょう。体の筋肉や脂肪は運動?生活行動?などの区別は関係ありません。そして、お勧めの運動はラジオ(TV)体操で、散歩より負荷がかかりストレッチもできます。
 効率よくやせるには、やっぱり食事で、和食がベストです。しかし、塩分の摂り過ぎを防ぐために、汁物は具だくさんにすると手っ取り早く野菜が多く食べられ、汁が少ないので減塩できます。
 食事の量は、空腹感があるときが体脂肪が燃焼している時間です。食間に空腹感を感じるように腹八分目にします。
 食事内容の分配は、お弁当をイメージし、ご飯が1/2、蛋白質の主菜はご飯量の1/2、あとは野菜中心の副菜でまかないますが、あと一口の物足りなさも野菜で補います。ただし、蛋白質が不足すると、筋肉が落ちますから、肉の脂身はやめて、赤身やササミを適量。他に、タケノコ、海藻、コンニャクはダイエットの味方です。

 

   
NO.138号掲載  
   
鈴木輝行さん
鈴木輝行さん
 4年前、閉塞性動脈硬化症で左足が壊死し、切断した。水質浄化システムなど環境問題に取り組む事業会社を経営する鈴木さんにとって、ショックは大きかった。しかし、それが障害者の問題に関わることに。
障害の対象は広い。
 「家に閉じこもりがちな障害者はもっと外に出なければ」と障害者同士の交流の場には積極的に参加し、障害者雇用についてもまず行政が実践すべきと、それを実現させた。また、地震などさまざまな災害に対応できる障害者のための災害時用バンダナも開発した。手話講習会には奥さん共々参加し、毎晩食事時の7時半から1時間は夫婦間の会話は手話と決めている。
 まさに、決断実行の人。この春からは、鎌倉市身体障害者福祉協会の会長に就任、バリアフリー社会の実現に活動の場がさらに広がった。「大学の専攻が社会福祉でした。いまはライフワークと思っています」と笑う。
もう一つの活動が、「鎌倉の医療をよくする会」事務局担当。この会は「患者の声をよく聞き、患者と医療機関、行政、立法が交流し、鎌倉の医療をよくしていこう」という趣旨で3年前に設立された。現在会員は30名。年4回の講演会(勉強会)が主な活動だが、「もっと輪をひろげていきたい」とこちらの活動も情熱を傾ける。 (笛田在住・58歳)
 
 
 

 

 
   
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