− 給食事業を展開する親会社葉隠勇進鰍ヘ今年が創業50年ということですが、なぜ介護事業に。
平野 佐賀の造り酒屋に生まれた創業者大隈敏史は弁護士をめざし上京、法務関係の出版社に勤務していたのですが、その時作ってくれた母の弁当がおいしく、同じ仲間からもお金を出すから作ってほしいと頼まれたほどでした。足が不自由で、仕事ぶりが正しく評価されないという現実もあり、それならと始めたのが弁当屋だったのです。
その小さな弁当屋が、いまは産業、学校、病院、介護給食へと事業を拡大し、今年50周年を迎えました。ですがその原点は「大切な人のために、心を込めた愛情いっぱいの料理とサービスを提供する」にあります。介護事業進出もまさにその一環なのです。
− と申しますと。
平野 今は社員2500人の規模に成長しました。これまで福祉施設や病院などの給食を請け負ってきましたが、直接社会責献する仕事もしていきたい。
そこで、待機児童ゼロにしようという子育て支援事業として保育園の経営を始めました。さらに当社でも毎年社員の何人かは家族の介護で辞めていきます。次に求められているのは介護の分野ではないかということで、1年半の準備期間を経て一昨年制度化されたサービス付き高齢者向け住宅への進出を決断したわけです。
− 藤沢、茅ヶ崎と相次いで開設されましたね。
平野 はい。湘南地域は高齢化率も高く、待機者も多い。施設が足りません。そこで、5月にグリーンテラス茅ヶ崎を、7月にグリーンテラス藤沢をオープンいたしました。
一般に、介護度の軽重関係なく同一施設に入居する場合が多いのですが、我々は同程度の介護が必要な方を同一施設でご利用いただけるように度、片や軽度の方では、介護の仕方もまったく違いますからね。
− 施設運営にあたってのポリシーは。
平野 先ほど当社ビジネスの原点は「大切な人のために、心を込めた愛情いっぱいの料理とサービスを提供する」だと言いましたが、この精神は介護の分野でも一貫しております。すべての方を受け入れ、お一人おひとりのライフスタイルを大事にし、最終的には病気にならない限り看取りまでお世話したいと思っております。
それに、施設は明るく、清潔、職員はいつも笑顔でをモットーとしております。よく、お年寄りを○○ちゃんなどと呼んだり、お遊戯したりと子供扱いするところが多いのですが、それはやめようと。
常に見守っているので、できるだけ自由にしていただく。十把ひとからげ″ではなく十人十色″の施設で、のびのびしていただければと考えております。
− ご利用されるからにはいつまでも元気でということですね。
平野 はい。この事業を始めるにあたって皆で勉強し、話し合ってきましたが、結論は「私たちが入りたくなる施設にしよう」ということでした。そのためにはどうすればいいか。
まず、一人ひとりの暮らしを尊重することです。たとえば、グリーテラス藤沢には28人がご利用いただけますが、それは28通りの暮らし方があるということです。就寝時間やお食事の時間など、ライフスタイルに合わせて対応します。
そして、給食で発展してきた会社ですから食事の楽しみには特に気を配っており、厨房施設を設け、教育訓練した調理師が家庭で食べるような温かく、おいしい食事をお出ししております。
− ご家族との交流も大切にされていますね。
平野 ご利用者はさびしでしょうし、ご家族の方は心配ですので24時間訪問可能ですし、事前に連絡いただければ、お泊りいただけます。また、ご利用者の日々のご様子を「お客様便り」として毎月報告、お食事会やさまざまなイベントにもご招待しています。ご家族がおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に食事をし楽しんでいただける、そんな施設にしていきたいのですよ。 |