174号(2013/11)掲載


− 12月1日オープンまで2週間あまりですが、周囲の自然とマッチした風合いのある落ち着いた施設の誕生ですね。
 魚住  はい。大船の地は緑も多く、落ち着いた町です。鎌倉は景観条例も厳しく、環境への配慮を重視して京都の和風旅館をイメージした建物にいたしました。当社は北海道から沖縄まで、全国に有料老人ホームを建設し鎌倉は36番目、これまでの開発ノウハウを結集した建物となっておりますのでぜひご覧いただければと思います。

− なのに入居金0円というのはどうしてですか。
 魚住   それは地元のオーナーさんが土地と建物を提供し、当社が借り上げる方式をとっているからです。ただし、建物はデザイン設計から建設まで、当社が行っておりますから、一流の施設を安くご利用いただけるわけです。
その基本にあるのが、終の棲家として最期まで安心してご利用いただく施設という考え方です。

− 具体的には。
 魚住   お元気な方は散歩もお買い物も自由、楽しんで毎日をお過ごしいただけます。そしていざ介護が必要になれば、協力医療機関と連携し医療処置やリハビリなどチームを組んでケアを行ってまいりますし、看取りまで責任もってお世話するというのが当社の方針です。いざという時にすぐに対応するように別時間スタッフを常駐し、全室ナースコールを設置しています。 地元の方が老後を安心して暮らしていただける、地域密着、地元に愛され、必要とされる、そんな施設にしたいのです。

− 明日(11月16日・土曜日)から見学会も開催されますね。
 魚住   はい。終の棲家として納得してご入居いただきたいので、2度、3度と気軽にのぞいていただければと思います。


172号(2013/09)掲載

 − 給食事業を展開する親会社葉隠勇進鰍ヘ今年が創業50年ということですが、なぜ介護事業に。
平野  佐賀の造り酒屋に生まれた創業者大隈敏史は弁護士をめざし上京、法務関係の出版社に勤務していたのですが、その時作ってくれた母の弁当がおいしく、同じ仲間からもお金を出すから作ってほしいと頼まれたほどでした。足が不自由で、仕事ぶりが正しく評価されないという現実もあり、それならと始めたのが弁当屋だったのです。
 その小さな弁当屋が、いまは産業、学校、病院、介護給食へと事業を拡大し、今年50周年を迎えました。ですがその原点は「大切な人のために、心を込めた愛情いっぱいの料理とサービスを提供する」にあります。介護事業進出もまさにその一環なのです。

 − と申しますと。
平野  今は社員2500人の規模に成長しました。これまで福祉施設や病院などの給食を請け負ってきましたが、直接社会責献する仕事もしていきたい。
 そこで、待機児童ゼロにしようという子育て支援事業として保育園の経営を始めました。さらに当社でも毎年社員の何人かは家族の介護で辞めていきます。次に求められているのは介護の分野ではないかということで、1年半の準備期間を経て一昨年制度化されたサービス付き高齢者向け住宅への進出を決断したわけです。

 − 藤沢、茅ヶ崎と相次いで開設されましたね。
平野  はい。湘南地域は高齢化率も高く、待機者も多い。施設が足りません。そこで、5月にグリーンテラス茅ヶ崎を、7月にグリーンテラス藤沢をオープンいたしました。  一般に、介護度の軽重関係なく同一施設に入居する場合が多いのですが、我々は同程度の介護が必要な方を同一施設でご利用いただけるように度、片や軽度の方では、介護の仕方もまったく違いますからね。

 − 施設運営にあたってのポリシーは。
平野  先ほど当社ビジネスの原点は「大切な人のために、心を込めた愛情いっぱいの料理とサービスを提供する」だと言いましたが、この精神は介護の分野でも一貫しております。すべての方を受け入れ、お一人おひとりのライフスタイルを大事にし、最終的には病気にならない限り看取りまでお世話したいと思っております。
 それに、施設は明るく、清潔、職員はいつも笑顔でをモットーとしております。よく、お年寄りを○○ちゃんなどと呼んだり、お遊戯したりと子供扱いするところが多いのですが、それはやめようと。
 常に見守っているので、できるだけ自由にしていただく。十把ひとからげ″ではなく十人十色″の施設で、のびのびしていただければと考えております。

 − ご利用されるからにはいつまでも元気でということですね。
平野  はい。この事業を始めるにあたって皆で勉強し、話し合ってきましたが、結論は「私たちが入りたくなる施設にしよう」ということでした。そのためにはどうすればいいか。
 まず、一人ひとりの暮らしを尊重することです。たとえば、グリーテラス藤沢には28人がご利用いただけますが、それは28通りの暮らし方があるということです。就寝時間やお食事の時間など、ライフスタイルに合わせて対応します。
 そして、給食で発展してきた会社ですから食事の楽しみには特に気を配っており、厨房施設を設け、教育訓練した調理師が家庭で食べるような温かく、おいしい食事をお出ししております。

 − ご家族との交流も大切にされていますね。
平野  ご利用者はさびしでしょうし、ご家族の方は心配ですので24時間訪問可能ですし、事前に連絡いただければ、お泊りいただけます。また、ご利用者の日々のご様子を「お客様便り」として毎月報告、お食事会やさまざまなイベントにもご招待しています。ご家族がおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に食事をし楽しんでいただける、そんな施設にしていきたいのですよ。

     
   

147号掲載

 
 

 − 介護事業に取り組んで約30年になりますね。
堀井  私は会社員生活をしながら祖母、母を26年間介護してきました。その経験から、自分たちが迎える21世紀の老後はどうなるかを考えるようになったのです。日本は世界でも例のないスピードで高齢化し、2008年の高齢化率22・1%が、2045年には38・2%になると予測されています。しかも、100歳以上も、現在約5万人が、20年後には100万人に達するとみられています。

 − まさに未踏社会。
堀井  そうです。100歳の方の子供の中には70、80歳で、介護される立場になる方もおられるでしょう。2000年に介護保険制度がスタートしましたが、措置制度の介護、老後の肉体を支える介護だけでは社会が疲弊してしまう。情緒も含めた精神と肉体の両面が支えられなければ充足した老後にはならないし、そのための仕組みを創らなければなりません。
 それは、まず第一に、子供に頼らない老後をいかに楽しく過ごすかというプログラムを創ること、二番目は、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と第3人称でなく個人としての尊厳と自由を失わず旅立つまで第1人称の人格を持ち続ける社会に、そして3番目のテーマが、お年寄りが増えると若い人への負担が増すということで世代間分裂が起こる、これを防ぐために高齢者も参加できる高齢者市場を創ること。我々はこの3つを追究し、21世紀の新しい生き方、そのモデルをつくってまいりました。

 − それが街角ビジネスということですね。
堀井  はい。基本的に事業を行うのは地域の人たちで、地域の事業者にマネージメント、アクティビティープランなど介護スキルを提供し、その結果地域社会を豊かにする株式会社ということで街角ビジネスという言葉を使ったのですが、今でいうソーシャルビジネス、コミュニティビジネスですね。

 − 現在11のホームがありますが。
堀井  21世紀はモデルのない社会で、式も答えも自分達で創っていかなければならない。ただ、介護の基本は家庭介護なんです。それが核家族化で難しくなった。そこで、地域介護への転換が求められるのですが、そのベースは家庭介護にあるということで、十数年間かかり体系化し、「いつくしみの思草(しぐさ)」というスキルを開発しました。このスキルは、介護保険では身体介護が中心ですが、加齢が進むとメンタル面がより大切になるため、その両面を支える介護システムとして開発したのです。
 私達のホームが20〜30人規模なのも1人1人の生き方を大切にした介護をするためです。50人を超えると、大量生産、大量販売の画一的な方式となりシニアは幸せにはなれませんから。

 − 具体的には。
堀井  日々実践している現場のクルー(職員)から聞き取りをし、改良しながらマニュアルづくりを行っています。例えば、介助にしても市販のマニュアルにはない、相手を思いやりさまざまなケースを考え実行しながらマニュアル化していきます。階層別の勉強会もテーマを決めてやっています。また、一般的に介護者と看護者は別れていますが、我々は両者が一体となってシニアのお世話をしています。
 こうした「いつくしみの思草」があるから、看取りもできるのです。サンフォーレの入居者の平均年齢は91歳で、昨年は7名の方が亡くなりましたが、そのうち3名の方は100歳を超えていますし皆さんホームで看取りました。現在入居者の94%はホームで看取っています。これも日常の生活の中で職員、家族、ドクターの信頼関係が確立しているからです。
 ほとんどのご家族がお別れできてありがとうと喜ばれ、感謝の手紙もたくさん頂いております。
 また、わたしどもでは健康な人、要介護の人、認知症の人が一緒に生活している。食事も、1日がお赤飯、10日がお寿司やまぜご飯、15日が郷土食、22日が薬膳スープの日。この他、誕生会などの特別メニューもあり、食に関しては皆さん満足されています。
 そして、レクレーション。毎日何か楽しいこと、嬉しいことを探しましょうと、プロ、クルー、介護者本人などが交替で感動のサービスを実践しています。
 お店屋さんやイベントは、地域の方々も自由に参加し、講演会、セミナーも開催し好評ですよ。

 − 街角ビジネスが根付いたということですね。
堀井  地域の中の施設であれば、家族も頻繁に行き来でき、地域の人が働く場にもなる。地域の人が享見合うことによって地域も豊かになる。これが私どもの街角ビジネス、コミュニティビジネスです。これら5つの特徴をシステムとして完成したのを機に、このノウハウを全国に提供していきたいと考えています。

 
     

 
   
     

 
140号掲載
 
施設長に聞く
須磨 清さん

Q ライフケアガーデン湘南は、藤沢市の姉妹都市、アメリカのフロリダ州マイアミ・ビーチ市のリゾート&リラックススタイルと湘南文化を融合した21世紀型の街「ココタウン」に平成18年に誕生、4年になりますが、明るく、温かい、リゾートホテルのような施設ですね。
 はい。当施設は、
@私たちはご入居者の皆様が、我が家のようにくつろいでお過ごし頂けることを第一に考えます。
A人生の先輩としてご入居者の皆様を敬い、尊厳を守り、常に笑顔をたやさず余裕のあるケアをいたします。
B湘南の自然あふれるこの土地で、ご入居者の皆様が快適な生活を送れる、質の高いサービスを提供します。
 という3つの経営理念を掲げております。ご入居される方には、ナーシングリゾートホテルに滞在するという気持ちをもって暮らしていただきたいのです。

Q 高齢者が多いだけに、病気やけがなど迅速な対応が必要ですが、体制づくりもしっかりしていますね。
 それが可能なのも、当施設の運営は、病院、診療所、老健、特養、グループホームなど16の施設を擁する健育会が行っているからです。施設内に診療所(ココタウンクリニック)を併設、ナースも以時間常駐しリハビリも毎日行っています。当施設は、介護度5でも対応します。現在入居者の平均年齢は、83歳。最高齢は106歳の方ですが、お元気ですよ。

Q 快適な生活″のための工夫は?
 全室床暖房ですし、個室には、日頃お使いになっていた調度品の持ち込みも自由。イトーヨーカ堂による出張販売もあり、買い物も楽しんでいただき、さまざまな行事も行っています。
 日常的に力を入れているのは視聴覚を刺激するための音楽療法や書道教室などで、外部から先生を招いて行っております。

Q 人材育成は。
 介護は人海戦術で、省力化も機械化もできません。介護の質を左右するのは、職員の適性です。ですから、職員の一般募集よりは、紹介による採用を行っていますし、きめ細かい研修で、一人前に育てる方針をとっています。そしてなによりご入居者は人生の大先輩。尊敬の念をもって、笑顔で接することを大事にしております。

 
   

 

 
138号掲載  人生90年時代。それは、介護の問題が避けて通れない時代ということ。
可能な限り自宅で過ごし「家族に看取ってもらいたい」という願いも難しくなっているだけに、施設の役割は高まるばかり。
これからの施設はどうあるべきか。日々取り組んでいる福島さんにお話しをうかがった。

 
人権に配慮した個別ケアとは
福島廣子さん

Q 「ふれあいの泉」では個室での介護ということですね。
 ユニットケアといいまして、利用者は個室で9〜10人の単位(ユニット)で3人の職員が担当(3対1)します。
昔の大家族やグループホームが集まったようなものですね。
各ユニットでは入居者がご飯とみそ汁をつくり、厨房でおかずを作る。盛りつけもできる人は職員と一緒にやってもらうなど、家庭的環境を大切にし、その人のできる範囲でお手伝いすることで、生きがいを失わないケアを心掛けています。

Q できるだけ、居室に閉じこもりになりがちをさせないということですか。
 はい。そのためにはその人に合ったプログラムを用意することです。ここでは、建物の入口に喫茶コーナーを設け、訪れたご家族と一緒にお茶を飲んだり、入居者の部屋から四季の花が見えるように、ご家族が花壇に花を植えたりしているんです。
実は、この喫茶コーナーは障害者支援組織に光熱費、水道料以外は無償で提供しているんです。それに、地域の方も気軽に利用できるようになっています。

Q 地域との交流にも力をいれておられる。
 そうなんです。何よりも、地域の方々に施設ができて良かったと思ってもらえることです。そのために、入居者とご家族が盆踊りに参加したり、町内会の方々の要望には、施設のスタッフが講師となって介護に必要な技術、転倒予防、認知症予防のお話しなどをして地域との交流を深めています。また、地域の方々にもボランティアをお願いすることもあります。
開設して4年目1そのような関係がようやくできてきたかなと思っています。
私は、行政ともタイアップし、地域に根ざし、拠り所となれる施設にしたいのですよ。

Q 利用者の家族会もあるんですか。
 あります。会費は月額300円。規約もできていて、誕生会やイベントも企画されていますが、ご家族が主体ですから、施設は事務方でお手伝いするだけです。

Q 介護の人材をいかに育てるかも大きな課題ですね。
 はい。でも、一施設で取り組むには限界があります。地域の施設がチームを組んで介護のプロを育てる必要がありますね。私もその活動に取り組んでいるところです。
もちろん、介護技術を高めることは当然なんですが、人生の大先輩をお世話するわけですから尊敬の念をもってやらなければいけません。
介護するという上からの目線は絶対ダメ。人として対等であるという認識を持ち、自立のお手伝いをす竃という意識で取り組むことです。そのためには、職員のコミュニケーションカなどの個別ケアも必要なんですよね。

 
     
 
 
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