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かまくら 古木の記憶 33
若宮大路一の鳥居の「ヤドリギ」
(ヤドギリ科ヤドギリ) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
若宮大路の一の鳥居の近辺は、古い樹木も多く残り、昔日の面影を残しているが、木の枝が落ちるとヤドリギ(宿在木)が沢山見受けられる。
ケヤキやエノキ、ブナなどの木、落葉樹の大木に寄生する。常緑で、大きくなると丸くなり、直径50〜60センチにもなる。集の長さ3〜6センチの倒披針形。春に枝先の葉の間から黄色の花が咲く。果実は、単色で球形。世界各地にあり、西洋では縁起の良い木とされ、家紋にも使われている。
北海道から中国地方に分布し、樹木からの養分を吸収して生長し、家主の落葉樹が葉を落としている間に成長するため、木には重大な被害は少ない。
ヤドリギのある風景に自然が感じられる。 |
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NO144
10/11/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 32
元八幡の「榎」
(二レ科エノキ) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
材木座にある鶴岡八幡宮の元八幡には、源義家に因む旗立ての松が境内入り口に神木としてあったが、枯れて根が祀られて残っている。その境内にエノキはある。
二本のうち一本は、幹回り約三メートルにもなっている。
エノキは、ケヤキやムクの木と同族で、落葉高木。北海道を除く全土に分布し、中国、台湾、韓国にもある。
国産漢字「榎」は、葉が夏に茂り、木陰をつくることの意で、街路樹にも多く用いられている。
煙が少なくよく燃えるので薪によく、漆かぶれを治す効果もあるが、宿木(やどりぎ)が寄り付きやすいことや、空洞が幹にできやすいため、神の宿る木とも言われてきた。各地の神社には、神の宿る木として存在している。(鳥居の後方が榎) |
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NO143
10/10/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 31
小町 宝戒寺の「ハギ」
(マメ科ハギ) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
日本には十余種類自生する多年草または低木。一般にはヤマハギを指し、秋の七草のハギはこれを指します。
万葉集では、一四一首詠まれている秋を代表する花なので、草冠に秋と書く上、その和漢字が作られました。
宝戒寺のハギが有名になったのは、昭和四十年代白萩を愛した先代の住職が増やしたそうだ。寺は北条一族のために創建されたが百五十年の繁栄を失った一族を想うにふさわしい花かも知れません。
細く弓状に伸びた枝に直接花をつけます。春から伸びた枝に花が付くので、枝分けした苗や挿し木からすぐ花が観られます。
万葉集の時代に奈良の野草が開発され、そこに繁ったハギは、前記の様に万葉集に風景として表現されるように、日本人の心が込められています。 |
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NO142
10/9/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 30
材木座 光明寺「ソテツ」
(クスノキ科クスノキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
暖地に自生し、公園や庭などにも植えられている。
寺社にも植えられ、今は我々の生活に身近な存在である。ソテツ(蘇鉄)は、常緑低木で、和名では「蘇鉄」の他、「火蕉」などがある。「蕉」の字が多いのは、葉が芭蕉に似ているからと言われ、火にも強かったためで、原産の中国では防火帯に使われた。恐竜時代から登場し、恐竜映画のイメージとしても登場している。
光明寺の木は、市内でも大きいものと言われており、高さ6m程、根回りは5m以上ある。
日蓮宗や浄土宗の庶民宗教の寺では、境内に参拝者への異国からの珍物として植えられていたらしい。
光明寺には有名な関東一の山門があり、お十夜には近在の多くの人々が参拝に訪れる。 |
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NO141
10/7/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 29
大町八雲神社「クスノキ」
(クスノキ科クスノキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
祇園山ハイキングコースの入口にあり、天照大神の須佐之男命他を祭神とするこの神社は、徳川家康から朱印地を頂いた、大町の住民に信仰厚いところである。
その境内の中央に御神木クスノキがある。日露戦争後の明治三十九(一八〇六)年、願主今村吉太郎、石井道蔵氏により奉納された。
真っ直ぐ伸びる樹高は、二十メートルを超え、町民のシンボルツリーになっている。そして、根元には、八幡太郎義家の弟、新羅三郎義光の力石がある。武将の誇り高かった義光に肖(あやか)り、境内では、力自慢も行われたとか。
クスノキは、古くから神社とご縁は深く、暖地に自生している二高さが五十メートルにもなる常緑高木。
葉を切ると、ショウノウの香りがする。初夏に黄白色の小花をつける。公園樹にも盛んに使われ、建築材、家具彫刻に使われている。住民に身近な木として、古代から利用されていた。 |
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NO140
10/6/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 28
二階堂 覚園寺「イヌマキ」
(マキ科マキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
鷲峰山真言宗覚園寺には、神奈川県の名木一〇〇選に選ばれたイヌマキがある。
薬師堂の左前に、高さ十八メートル、胸高円周四.一メートル以上の木は、お堂の前栽にふさわしい風格である。永らく寺の信者を見守り、静かな寺域に存在感がある。
樹齢は八〇〇年余といわれ、地上五メートル位のところから太い枝が四方にぶら下がり、よく繁っている。
鎌倉の歴史を共にしたこの樹を末永く守っていきたいものである。そして、鎌倉市の文化財にもなっている。
暖地の山地に自生するはか、庭木、生垣としても植えられ、五,六月ごろ開花し、九月ごろ赤褐色の花托の上につく球形の果実は、甘くて食べられる。 |
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NO139
10/5/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 27
「イチョウ(公孫樹)」
(イチョウ科イチョウ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
イチョウ(公孫樹)は古い時代に渡来し、初めは寺社に多く植えられ、その後、街路樹にも用いられている。
蛭子神社の公孫樹は、明治六年一村一社に限られた際に、山王大権現と七面大明神、諏訪神社などと本覚寺の夷三郎社が合併した記念に、明治十四年に小町村の戸長・関平ヱ門氏が植えたものである。
それから、約百三十年、鎌倉小町の発展を見守ってきた。
イチョウの木は、先般話題になった鶴岡八幡宮の大イチョウ始め、市内の寺社で多く見られ、巨樹も多い。 |
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NO138
10/4/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 26
「タチヒガン」
(エドヒガン・バラ科) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
北鎌倉・浄智寺の方丈門の右に、タチヒガン二株がある。ヒガンザクラの野生種で、枝が枝垂れないため、立彼岸と呼ばれている。鎌倉市の天然記念物である。
タチヒガンは、関東以西の山地に野生し、中国にもある。葉は細長く、鋸葉は細かく側脈の数が多い。薬毒の脈の上に毛がある。
花は小さく淡紅色浄智寺の二本の木は大きく、林立している。花は、四月上旬に開花する。特色は幹である。樹皮は、縦に列目が入り、一般の桜の木とは異なる。若い木は、樹皮に桜の木らしい横の列目が入る。
根廻り一九〇センチ、胸の高さの幹廻り一七五センチ。他の一本は、根廻り一五五センチ、胸の高さの幹廻り一三二センチ。寺の朝比奈宗泉師のお言葉では、幼少の頃から、容姿は変わらないそうだ。その樹高は、二〇メートル強。
昭和四十七年に、鎌倉市の天然記念物。続いて、六十二年には、県の名木百選に選ばれている。 |
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NO137
10/3/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 25
「栴檀」
(センダン科センダン属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
開花時季には、紫色の小さな花。花びらは、5〜6弁。あまり目立たないが、竹とんぼが回転しているような格好。
春の花が秋には、楕円形の実が枝一面につき、落葉後も、木に残る様子は、数珠のようであることから、「センダン」(千珠)の意味で名付けられた。
小町の本覚寺の「えびす堂」前には、目立つ大きな木がある。幹は、建築用材に、また木魚や下駄に用いられる。
「せんだんは双葉より芳し」の例えは、この木のことではなく、マレーシアやインド原産の「栴檀」の木のことである。
整備の整った本覚寺えびす堂前のセンダンの木は、趣きがあり、秋には、子供たちが堅い実を拾っている。 |
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NO136
10/2/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 24
大船 常楽寺「菩提樹」
(シナノキ科 シナノキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
菩提樹は釈迦がこの木の下で坐禅をしていて悟りを開いたという伝説のある仏教と関わりの深い木である。市内の他の寺院にもある。
常楽寺の木は、主幹からの枝が伸び伸びとした堂々たる樹形をしている。市内英勝寺から移築された文殊堂の入り口にあり、百余年前の移設の時季に植えられたと考えられる。
高さは15メートルにもなり、落葉高木、菜は互生し、ゆがんだ三角状卵形で長さ5〜10センチ。
六月ごろ葉の脇から花を出し、芳香のある淡黄色の花を咲かせる。果実は球形。
木は寺の境内の他、最近は街路樹、庭園樹として使われている。原産地は中国。 |
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