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NO155
2011/12/10掲載 |
小町 本覚寺の鳳風竹(イネ科)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
正月のえびす大祭で有名な小町・本覚寺の夷堂では、1月10日のえびす講で配られる縁起物の笹竹は、夷堂の周辺に植えられ茂っている。
薬の形が鳳凰の羽に似ているため、名の由来となった。「幸運を招く開運竹」とも言われている。
鎌倉時代海から陸揚げされた品物は、大蔵へと材木座から滑川を利用した水運の他、陸路小町大路を通って交易は行われていたが、特に、滑川中流の本覚寺周辺は賑わったらしい。活気さかんなこの地に夷神は祀られていた。
鳳凰竹は小型で、12月頃は筍も育って、若い葉も美しく映える。そして、小型のため庭先や垣根など、街中でも利用されている。夷大祭のこの時季は、木も美しく、「夷飾り」が引き立つ。
古来、日本では縁起物として、笹竹が用いられていた。 |
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NO154
2011/11/10掲載 |
長谷のエノキ(二レ科エノキ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
長谷のバス通り、路盤の高い見通しの良いところに「エノキ」はある。本来は山地に生える落葉高木で、高さが15メートル程にもなる。冬期の幹だけの姿から、春先に新芽が芽生え、新しい葉が生まれる頃は美しい。新枝は赤褐色を帯び有毛であるが、その後は無毛となる。薬は互生し、4月頃淡黄褐色の小さな花をつける。そして果実は広楕円形で」10月赤褐色に熟す。甘い味がする。
昔から旅行者のために一里塚に植えられ、道案内になった。葉も茂った初夏には、旅人が腰を下ろす姿が見られたに違いない。
このエノキには、平家物語の逸話がある。平家の武将、平盛久がテーマで、謡曲「盛久」で由比ケ浜の盛久を詠っている。大正8年、鎌倉同人会で建てた碑もある。
本州全土のほか、朝鮮半島、中国にもあり、蝶、オオムラサキの食樹でもある。鎌倉市の第4回「景観づくり賞」にも選ばれた。 |
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NO153
2011/10/10掲載 |
浄智寺「コウヤマキ」(スギ科 コウヤマキ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
コウヤマキは日本特産の常緑針葉樹で高さ40メートル位になり、樹冠は狭い円錐形である。
葉は厚く、2枚の葉が合着して長さ10センチの線形となり、短葉に輪生してつく。主に関東から九州にかけて植生している。
臨済宗浄智寺にある高野槇は寺周辺の歴史を感ずる環境にあっても、その存在感は大きい(鎌倉市指定天然記念物)。推定樹齢は七百年。
紀州の高野山に多く、「高野の大木」のひとつ。弘法大師が花の代わりに仏前に供えたとの言い伝えもある。
また、高野槇は四十一年ぶりに皇位継承資格を持つ男子として生まれた、秋篠宮家長男の悠仁さまの「仁」の字にご両親の「真っ直ぐ育って」との願いが重ねられて選ばれた、悠仁さまのお印となっている。高野槇は、皇居のほか寺社にも多く存在している。 |
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NO151
2011/7/10掲載 |
龍口寺(片瀬)「カイコウズ」(マメ科デイゴ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
別名「デイゴ」。鎌倉の西、片瀬の日蓮宗本山龍口寺の山門の東側にある。立看板によると平成七年十二月に、地元の振興組合の招きで、第64代横綱・曙太郎が植樹したとある。
ブラジル原産で、日本名「海紅豆」とも言われて、七〜八月頃南国を想わせる真っ赤な花をつける。
寒さには弱く、関東の南から沖縄に存在し、国内では沖縄、鹿児島の県木にもなっている。
マメ科の落葉高木で観賞用として植えられ、高さは10メートル以上になる。不思議な形をした花が関東ではめずらしい。花を楽しむ木である。枝と桑にはトゲがあり、菜には長い柄があって長楕円形の三小薬である。 |
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NO150
2011/6/10掲載 |
きらら鎌倉前「エゴノキ」(エゴノキ科エゴノキ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
雑木林などに多い落葉高木。鎌倉の中心部のきらら鎌倉の正面に植わっている。由来は不明であるが、昭和五十七年(1982)、生涯学習センター(きらら鎌倉)が建設された時植えられた。永年見慣れている市民にとって、五、六月の開花時には存在感が大きい。高さは10〜15メ−トルもなる。樹皮はなめらかで暗紫褐色である。
葉は互生し、卵型で長さ4〜6センチ。新しい薬の先端に白いかわいらしい花を下向きに開く。ピークには枝の先端まで花は覆い、黒い建物をバックに見事。
果実は緑白色の楕円形である。庭園樹としても利用され、人間の居住地近くに存在するため、薪炭として使われるほか、玩具や杖としても利用されている。北海道から沖縄まで広く分布している。 |
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NO149
2011/5/10掲載 |
鶴岡八幡宮の「馬酔木」(ツツジ科アセビ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
鶴岡八幡宮境内近代美術館の周り、そして神域の各所に見られる。生存競争の苦手な木で、酸性の強い乾燥地や、他の生物の嫌う場所に生えるが、社務所の前面には、西日を浴びて縁起の木として盛んである。葉は枝先に集まり互生して、長さ3〜8センチの広倒披針形で、革質、縁に細かい鋸歯がある。枝先に白色で壷型の花を多数垂れ下げる。花も長期に咲き目立つ。
有毒植物で馬が食べると苦しむことから、この字が当てられ、葉の抽出液は農薬に使われている。一方、縁起の木として花が豊かに茂ることから、正月飾りの門松に使う地域もあるとか。一般住宅でも門に植えている。
木の幹は堅いため、寄木細工や櫛などに使われる。本州に広く分布し、宮城、山形より南に生えている。
文学では万乗集に登場する。江戸時代からは、身近になるにつれ、信仰の木に対する畏怖の他、園芸の木ともなった。 |
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NO148
2011/4/10掲載 |
大町 安国論寺「ヤマザクラ」(バラ科サクラ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
鎌倉時代の宗教家・日蓮上人が「立正安国論」を書いて北条時頼に建議したといういわれのある安国論寺には、日蓮が持っていた桜の杖が根付いたといわれるヤマザクラの妙法桜があり、鎌倉市の天然記念物に、また昭和五十年に市の木に指定され、県みどりトラストの鎌倉と三浦半島の古木名木五十選にも選ばれている。
歴史を感じる境内の入口近くにあり、根元から何代にもわたり孫生えが育っている。ヤマザクラは古くから親しまれ、鎌倉の風景にもなっており、樹高20メートルにもなる落葉高木。樹皮は暗褐色で皮目が目立つ。葉は卵状長楕円、若葉とともに淡紅色の花を開く。 |
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NO147
2011/3/10掲載 |
御成町「ソメイヨシノ」(バラ科サクラ属)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
市内御成町のニューカマクラの前庭に、ソメイヨシノの古木がある。樹齢九〇年、横須賀線のホームからも望見できる。
大正、昭和初期の文人の舞台にもなった庭に月桂樹とともにある。このたび、第4回鎌倉市の「景観づくり賞」にも選ばれた。
ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンから生まれた、やや早咲きの桜で、現在の東京都豊島区の染井で生まれた。江戸時代の末期、江戸文化の一端としてさかんに普及した。高さは15メートルにもなる落葉高木。直径4センチほどの淡紅色の花弁を枝いっぱいにつける。
美しさから観賞用として広く、街路樹、寺社の境内、個人宅で見られる。
この樹も鎌倉の移ろいを永年見てきたことであろう。 |
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NO146
2011/2/10掲載 |
若宮大路一の鳥居の「ヤドリギ」
(ヤドギリ科ヤドギリ)
高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
若宮大路の一の鳥居の近辺は、古い樹木も多く残り、昔日の面影を残しているが、木の枝が落ちるとヤドリギ(宿在木)が沢山見受けられる。
ケヤキやエノキ、ブナなどの木、落葉樹の大木に寄生する。常緑で、大きくなると丸くなり、直径50〜60センチにもなる。集の長さ3〜6センチの倒披針形。春に枝先の葉の間から黄色の花が咲く。果実は、単色で球形。世界各地にあり、西洋では縁起の良い木とされ、家紋にも使われている。
北海道から中国地方に分布し、樹木からの養分を吸収して生長し、家主の落葉樹が葉を落としている間に成長するため、木には重大な被害は少ない。
ヤドリギのある風景に自然が感じられる。 |
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