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NO135
09/12/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 23
「冬桜」
(バラ科 サクラ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
竹の寺で有名な報国寺の山門を入り、本堂の手前に、冬桜がある。十月桜とともに、初冬の緑の中に、サクラが咲く。春の桜と違って楚楚と咲いている。
マメザクラとヤマザクラまたはサトザクラの交配種といわれ、落葉小高木。葉は長さ3〜8センチの卵型。鋸歯は鋭い重鋸歯で、全面に毛がある。花房は散房状で一〜四花である。花弁は五枚。初めは、紅色をしているが、その後白色になる。同じ時季に、各地で十月桜が見られるが、これは八重。
冬桜は、日本列島の東に、十月桜は西に多い。現在は、庭園樹として用いられている。 |
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NO134
09/11/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 22
御成町ニューカマクラ「月桂樹」
(クスノキ科ゲッケイジュ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
地中海沿岸が原産で雌雄異株。
ギリシャ神話にも登場し、ギリシャ・ローマ時代から神聖視された樹木。勝利と栄光のシンボルとして勝者の頭に被せた。
葉は料理に、秦や果実は薬用として使われる。そして庭木、公園樹として利用されている常緑高木。
御成町ニューカマクラの木は、大正天皇のご生母、柳原愛子・二位の局のお手植えの表示がある。
近くには明治三十二年、鎌倉御用邸がつくられ、木のある場所には平野屋(料亭・旅館)があり、岡本一平・かの子、芥川龍之介が泊まった記録もある。
葉や実は月桂薬、月桂実として生薬名を持ち、葉に含まれるシネオールという芳香成分はリウマチ、神経痛などへの効果があるとされている。
葉をつけたままの枝でリースを作り、室内に掛けておくと空気を清浄すると言われている。 |
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NO133
09/10/10掲載 |
かまくら 古木の記憶 21
大船 常楽寺「イチョウ」
(イチョウ科イチョウ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
18年間、執権を務めた北条泰時の眠る常楽寺は、大船の町並みの東にある。
周辺は三、四十年前までは緑が漉く、田畑を渡る風もさわやかであった。今でも境内は緑豊かで、背景の山とともに大船のオアシスだろうか。
開山の蘭渓道隆禅師お手植えの公孫樹(イチョウ)は本堂の前にある。昭和の代になってからも数次の台風などで主幹は倒れたが、ヒコハエが根元から育ち、現在も立派な樹形を形成している。まさに寺のシンボルツリーである。
イチョウは仏教と深い縁のある木で、中国から渡来し、市内の他の寺でも沢山見かける。寺社の他、現在は街路樹として植えられている。秋には黄葉し、緑の周辺に存在感は強い。 |
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NO132
09/9/10掲載 |
かまくら 古木の記憶S
「御成小学枚の欅」
(ニレ科ケヤキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
山野に自生し、また植樹も盛んに行われている人間の身近にある木、ケヤキ。
鎌倉御用邸跡の払い下げを受け、昭和8年10月に竣工した御成小学校は、諏訪の森、御成山に囲まれ、池や社もある校域に、環境のシンボル的存在として、ケヤキの木はある。
その後、諏訪神社は移設されたが、緑に囲まれた雰囲気があって、卒業生たちは、学校行事とともにさまざまな思い出を持っている。
目通し、約2・5メートル、主幹は直立し、均整よく枝が張っている。かつて、主幹の空洞には、蛇が棲んでいたとか。
ケヤキは、人間生活に比較的近い存在で、細工もしやすいため、古代の迫跡からも生活用具、彫刻、楽器、建築材として使われていた。
春には花をつけ、果実は球形で直径5_くらい。高さが30〜亜メートルにもなる落葉高木。中国や朝鮮半島、本州、四国、九州にある。 |
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NO131
09/7/10掲載 |
かまくら 古木の記憶R
光明寺(材木座)
「クロガネモチ」 (モチノキ科モチノキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
浄土宗大本山光明寺の開基は、第四代執権北条経時。仁治元年(一二四〇)に創建。特に山門は、関東一の威容を誇っている。
寺内には、古木が現在も多く残り、材木座地域での大きな緑化ゾーンである。
このクロガネモチは、関東以南の暖地に野生するモチノキ科で常緑樹。鎌倉の樹のほとんどは栽培樹で、その幹は灰白色、小枝は暗紫色。葉は楕円形の、深緑色で光沢がある。新緑の頃は、葉が輝き美しい。鎌倉市の天然記念物にも指定され、幹囲いは一九二センチある。
クロガネモチの堂々とした姿は、安定感があり、人々に安らぎを与えている。 |
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NO130
09/6/10掲載 |
かまくら 古木の記憶Q
扇ガ谷
「浄光明寺イヌマキの杉」 (マキ科マキ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
扇ガ谷古儀真言宗の浄光明寺は、扇ガ谷の静かな谷戸にある。建長三年(一二五一)六代執権北条長時が建立した古い寺で、周辺の佇まいは、緑の濃い地域。本堂の上阿弥陀堂前の南向きの場所にマキの大木がある。枝は垂れて、お堂を覆う状態である。
鎌倉の寺社には、マキの古木が、木の形がすぐれて良いので樹より早く鎌倉市の記念物となった。
イヌマキという形に属し、葉が長いのが特徴。
根周り約三メートル。胸高幹周りは二六〇センチある。
暖地の山地に自生し、庭木、生垣として利用されている。高さ十五〜二十メートルになり、五、六月に開花し、果実は九、十月熟し、赤褐色の花把がつく。 |
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NO129
09/5/10掲載 |
かまくら 古木の記憶P
山ノ内
「円覚寺の杉」 (スギ科スギ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
北鎌倉の円覚寺の山門をくぐると杉木立に巡ります。
スギは日本特産の針葉樹です。大きいものは六、七bにも達します。有用樹種として最も多く植林されてきました。
樹冠は楕円状円錐形で、老木になるとやや丸くなります。葉は小形の鎌状針形で、らせん状につきます。四月ごろに開花。最近は花粉症が話題になっています。昔から境内の荘厳な歴史と雰囲気を醸し出しています。
スギは清浄な空気と豊かな地下水を好み、湿潤な鎌倉の土地に合い、また海の近い鎌倉では舟材にも使われてきました。昔から寺では伽藍再建の用材として、開山忌などにも植えられてきました。
夏目漱石の『門』にも明治時代の杉木立の様子が描かれています。 |
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NO128
09/4/10掲載 |
かまくら 古木の記憶O
浄智寺
「タチビガン」 (バラ科サクラ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
北鎌倉の浄智寺に、タチヒガンが二株ある。ヒガンザクラの野生種で、枝垂れないため、直立している。
シダレザクラ(イトザクラ)は、これの変化したものである。関東以西の山地に存在し、大木もある。
葉は細長く、鋸歯は細かく、個葉の数が多い。そして、葉裏の脈の上に毛がある。
高い梢の花は、空の光を受けて、白く見え、ヤマザクラより小形の花びらをつけている。
特徴は幹で、樹皮は縦に裂け目が入り、桜の一般的様子とは変わっている。
鎌倉には、他になく、四月上旬が花の見頃である。
浄智寺の朝比奈宗泉師のお話では、ご幼少の頃とその様子は変わらないそうだ。大きい方は、樹の根回り190cm、目線で幹周り180cmある。 |
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NO127
09/3/10掲載 |
かまくら 古木の記憶N
大船フラワーセンター
「玉縄桜」 (バラ科サクラ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
フラワーセンターの春一番の桜は玉縄桜。
今年は2月6日に開花しました。今月いっぱいフラワーセンターで愛でることができます。段葛にも、雪ノ下教会辺りに五本咲いています。
この桜はフラワーセンターで、ソメイヨシノの自然交配した実生株の中から早咲きを選び、育成されました。平成2年、3名の技師が種苗登録しました。
現在は地域普及を図るため登録が外れて、近所の学校や公園で盛んに植えられています。
淡紫ピンクで、中輪一重の花。世界的普及を考え、当初は近所の柏尾川に因み、「カシオザクラ」と命名されましたが、その後玉縄桜と変わりました。
玉縄地区は、北条早雲が城を築いて舗年を迎えます。そこでこれを記念して地域のシンボルとして育成されることも計画されています。 |
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NO126
09/2/10掲載 |
かまくら 古木の記憶M
瑞泉寺の梅 (バラ科サクラ属) 高柳 英麿 (神奈川県自然保護協会理事)
梅は、中国伝来で、奈良時代に中国との交流の中で運ばれて来た。
万葉集では、二八首も歌に詠まれ、国民的な花として貴族のみならず庶民にも親しまれた。
落葉小高木で、特に芳香が春を知らせる花として知られ、果実は梅干として薬用に広く使われている。外気は寒くても、春のさきがけの花として約千五百年前に、奈良に着いた。
梅の凛とした貴高さは、深いものがある。
錦屏山瑞泉寺には、約百五十本あり、数百年経った古木も沢山ある。特に黄梅は、市指定天然記念物で、植物の権威・牧野富太郎博士は、この木に「黄梅」の学名をつけた。
早春には、小ぶりの花をつける。瑞泉寺境内では、紅梅が早く花をつける。 |
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