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NO134
2009/11/10掲載
 体の中に寒″が入ると起こる 
 
冷え症 
▼血行不良、節々の痛み、腰痛、勝胱炎、
不眠、花粉症などの原因に
根本的な治療は、陰陽のバランスを整える漢方薬、
鍼灸の併用も
 
河村攻先生 

鈴木病院
内科・消化器科医師
鎌倉市腰越1−1−1
  TEL0467−31−7651
   

 
 

 今年は寒暖の差が激しくて、体調を崩しやすいのですが、冷え症対策は。
A  その前に、冷え性の根本的な治療法は西洋医学にはないのです。一般論として、西洋医学は器質的・形態的に所見の認められる病気を重視する傾向があり、治療するのも得意です。
 しかし、冷え症のように個人の感覚に訴えるような症状にはなかなか対応し難い面があります。一方、東洋医学は形態的な変化を伴わない機能的異常への対応が得意です。
 私の専門領域は、消化器病学、内視鏡学で、診断にも治療にも形態的な異常を重視する典型的な医療分野です。ところが、長く診療を続けるうちに、このような医療に限界を感じることが多くなってきました。しかし東洋医学は、このような西洋医学の不得意分野に力を発揮します。日常の診療の中で西洋医学的治療でなかなかよくならなかった方が東洋医学的治療で思いがけない卓効を示すことがしばしばあります。
 私は、いわゆる標準治療からもれてしまうものは、何も治療法がないのではなくて、漢方も鍼灸も使いこなして病気と闘う手段を増やし、患者さんにベストと思える治療(ハイブリッド医療)をしたいという考えに行き着きました。

 腹痛や便秘など、今は機能(働き)がおかしくなる病気が増えたといわれますが、冷え症の人も多く、ヒートテックなどの下着がブームになっていますね。
A 東洋医学では陰と陽のバランスを基本に考えます。そして陰とは冷に連なり、陽とは熱に連なる概念ですから、冷え症は陰陽のバランスが崩れ陰が陽より過剰になった病的状態と考えられます。たとえば、もともと陽が少し足りない体質の人に寒″が入ると陰陽のバランスが崩れて冷え症になると考えます。
 寒とは、冷房や寒さもありますが、体を冷やす食物を摂りすぎるなど、育ってきた食生活、さまざまな環境要因などもあり、これらと遺伝子などの体質的なものとの相互作用で発症すると考えられます。

 冷え症に効く漢方薬の定番は。
A 治療は陰陽のバランスを正すことですが、原因は個人個人によってちがいますので、一般論として体を冷やさないようにする特効薬をあげるわけにはいきません。
 つらくなったら我慢しないで受診していただければ、症状、その他を聞くことから治療法を探り、アドバイスいたします。

 東洋医学の診察はどのようにするのですか。
A 問診が主です。見た目の状態も大切です。脈の強さ、舌の観察、お腹の状態などを診察します。ですから、3分診療などはありません。(笑)特に、初診には時間をかけますね。


 「冷え症が原因で起こる病気とは。
A 多いですよ。風邪をはじめ、冷えが原因で血液の循環が悪くなり節々が痛んだり、頭痛、腹痛、下痢、肩こりや腰痛、生理不順、それから不眠、女性が一生に一度はかかるといわれる勝胱炎、花粉症などですね。ご本人が自覚していなくても患者さんの訴えを聞いたり、治療しているうちに、その原因が冷えだと気づく場合があります。そんな時は、冷えを治してあげればてきめんに症状がなくなります。

 漢方薬は長く飲まないと効かないといわれますが、治療期間はどのくらいですか。
A 治療の対象となる病気によって当然異なります。急性の病気にはすぐ効きますよ。
 漢方薬の作用が緩やかなイメージがあるのは、生活習慣病などの慢性病に利用されることが多いからにはかなりません。
 しかし、西洋医学で10年たっても良くならない。そこで、漢方薬に変えてみたら翌日にはもう体がポカポカする状態になったなどということはないでしょう。
 冷え症は、徐々に陰陽のバランスをとり、先週より今週、今週より来週と、調子を整えることによって次第に冷えを感じなくなってきます。東洋医学とはそういうものです。

(詳しくは、河村攻先生の著書「なぜ治らないの?と思ったら読む本 第3の医学ハイブリッド医療″」(ハート出版刊)をご参考ください)


 
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