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NO134
2009/11/10掲載
 胃炎や胃潰瘍ではないのに 
 胃の調子が悪い 

▼胃が痛いからと自己判断で
痛み止めを飲むとイタイ目にあうことも
 
斎藤哲彦先生 

清川病院
内科・消化器科医師
鎌倉市小町2−13−7
  TEL0467−24−1200
   

 
 

 食欲の秋になりましたが、お腹が痛い″という患者さんは多いのですか。
A  カゼを除けば非常に多いです。腹痛が症状の病気は範囲が広いので、食事に関係する胃炎に絞ってお話ししましょう。
 胃炎の原因となるのは、食事、ストレス、消炎鎮痛剤などの薬、そしてヘリコバクターピロリ菌やアニサキスなどの感染症です。
 胃炎には、急に症状が出る急性胃炎と、必ずしも症状があるとは限らない慢性胃炎があります。急性胃炎は、アルコールや刺激物などの摂りすぎ、激辛の香辛料、薬剤など、胃の表面の粘膜をただれさせる(びらん)炎症によって胃炎を引き起こします。
 急性胃炎の治療は、患者さんの訴えをいろいろ聞いて原因を探り出し、その原因を除去することが大切です。症状のひどい人なら入院してもらい、食事は摂らず点滴をします。軽症なら、まずはその症状を取り除く薬や胃の粘膜保護剤を飲んでもらい、生活指導も行うことで、2〜3日から1週間前後でほとんどの方が回復します。
 感染症では、アジ、サバ、マダラ、サケ、マスなど魚の寄生虫アニサキスが、胃や腸の粘膜にかみついてアレルギー反応をおこし、腹痛や吐き気が起こります。釣った魚を刺身にして食べたら数時間後に胃を絞るような周期的な痛みと吐き気を催すのが胃アニサキスで、3〜4日たって小腸に入って発症するのが腸アニサキスです。

 活きの良いアジのたたきも怖い場合があるのですね。
A 患者さんが食べていた物を覚えていればすぐ診断に結びつくのですが、数日経たないと症状が出ない小腸アニサキス症であれば、原因がわからずに緊急手術となってしまうこともマレにありますす。

 頭痛や足、腰の痛み止めも胃を痛める原因ですか。
A はい。ですから、消炎鎮痛剤を処方する場合、胃を保護する薬も併せて処方することもあります。
 最近では、処方せんがなくとも薬局でいろいろな薬が購入できるので、自己判断で解熱鎮痛剤などの痛み止めを飲むと胃の炎症はひどくなり、かえってイタイ目にあうことにもなります。
 また、総合感冒薬の中には、消炎鎮痛解熱剤が入っているものがあり、やはり胃の炎症を起こす場合があります。
 胃カメラや組織検査で慢性胃炎と診断されても症状がない場合は経過観察だけ。症状が強い場合は胃潰瘍に準じた薬や胃粘膜を保護する薬をのみます。

 検査で胃炎や胃潰瘍などの異常がないのに胃の調子が悪いのは。
A 機能性デスペプシアといいます。慢性の上腹部痛やもたれ感があるにも関わらず、その症状を説明できる器質的疾患がみられない症候群をいいます。
 病態としては胃腸の知覚過敏、胃腸の運動障害、神経障害やストレス、心理社会的因子など、複数の因子が発症要因として考えられています。最近多くなっている病気のひとつです。治療としては、胃炎、胃潰瘍に準じた薬物療法や、抗不安薬、抗うつ剤の投与を行う場合もあります。
 また、ストレス、不安の多い状況であれば心理療法などのアプローチを必要とすることもあります。
 また、胃に住むヘリコバクターピロリ菌(以下、ピロリ菌)に感染していると胃の粘膜が炎症を起こします。なにしろ、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんの約9割がピロリ菌に感染し、胃がんに発展するリスクも高いといわれます。しかし、ピロリ菌イコール胃がんというわけではありません。ピロリ菌は胃がんの単一原因ではなく、環境要因、社会経済状態1生活習慣など多くの因子が複雑に関与しているからです。
 それにピロリ菌の除菌療法は胃、十二指腸潰瘍には健康保険が適用されますが、胃炎は対象外で自費になります。

 
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