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NO133
2009/10/10掲載
 今、増えている!脊柱管狭窄症 
 腰痛、坐骨神経痛の最も多い原因に 

▼筋トレと体重減少、内服薬でコントロール
▼手術は最終手段。運動で筋肉と骨を強く
 
系 重毅先生先生 

聖テレジア病院
整形外科部長
鎌倉市腰越1−2−1 
TEL0467−32−4125
   

 
 

 足腰が弱くなると外に出るのがおっくうです。腰にしびれや鈍痛があり、しかもちょこと歩くと足も痛い、その原因は
A  今、圧倒的に増えている脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)が考えられますね。腰椎(背骨の腰の部分)の中心に神経が通っている脊柱管が狭くなる病気です。腰痛や足の痛みは腰の部分の脊柱管狭窄で、神経の血流が悪くなる、腰椎の骨がずれるなど、それらが単独ではなく、合併していることもあります。

 脊柱管を狭くする原因は何ですか。
A 子どもから大人になる時に未発達の場合に起こることもありますが、それはごくマレで、一番多い原因は加齢変化で、60歳代から起こります。
 人間は立って歩くので背骨をしっかりさせようと後の関節が頑張って張り出す、骨を連結する靭帯(じんたい)が厚くなる、椎間板(ついかんばん)が突出する、動脈硬化などいわゆる長い間の使用による変化で起こるのです。
 しかし、個人差も大きくて、肥満で骨格を支える筋肉が少なく脂肪が多いと負担がかかった腰椎が張り出して脊柱管を狭くします。

 やはりウエイトコントロールが大事ですか。
A そうです。一番大事なことです。ただ、体重を減らすために食事を減らすだけでは脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまいます。腹筋と背筋が腰椎を支えるのでバランス良く鍛えるようにします。筋肉は、骨・関節・神経と連携して働いていますから、どれか一つが悪くなっても体はスムーズに働かなくなるのです。
 こうした運動器の障害をロコモティブシンドローム(ロコモ)といいます。ちなみに整形外科学会ではロコトレとして左右1分間ずつ1日3回の開眼片脚立ちやスクワットを推薦しています。
 まずは15分位の散歩し、1日5千歩位歩いてもらいたいですね。その後 ロコトレやラジオ体操など、手近なところで体を動かして血のめぐりを良くし、ウエイトコントロールもします。

 寝ていると腰の痛みが取れるので家でゴロゴロ…、これは良くないですね。
A はい。悪循環に陥ります。痛みにはこうした保存療法をしながら神経の炎症を抑える痛み止めや血流を改善させるような薬、血管拡張剤などの薬をのみます。それでも痛い場合は、神経をブロック(麻酔薬で交感神経を遮断し、血液の循環を良くする)する注射をします。時には薬の効き目がきれた後でも痛みが出ないということもあります。

 ブロック注射で治ったのでしょうか。
A そうです。しかし、ブロックでも痛みがとれないという時は、手術になります。
 手術は穴を開けて一番狭いところに窓をつけたり、神経を圧迫しているところを削ってしまうということをやります。
 ブロック注射で一時的に炎症がとれてもくすりの効き目がきれると元に戻るという場合は、原因が特定されるので逆に手術は効果的です。というのも、腰だけ悪い人はあまりいません。腰の脊柱管が狭いのも一つの原因であるし、血管事態が動脈硬化を起こして、血流障害や複数の運動器が同時に障害を受けているなど合併している人が多いのですね。
 ですから、手術は最終手段とはいっても、手術すればすべて良くなるということにはならないのです。


 でも、年のせいなどと放置するのは良くないですね。
A まあ、どんどん進行する病気ではないのですが、尿のタレ流しや足の親指が曲がらずつまずくなど障害が出る場合は早急に手術しないと今度は手術しても何も良くならないことがあります。
 ですから、長く続く腰痛、歩き出して10〜15分もするとお尻から足の下までワーツと痛くなる、腰掛けて体を休めると痛みがとれる、姿勢を良くすると痛いが、背中を丸めると楽、そんな症状があれば受診して下さい。

 
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