Q 地球の温暖化で気温が体温に近くなったせいでしょうか、室内での熱中症が取り沙汰されています。熱中症とは?
A 熱中症とは、長時間高温多湿の環境にさらされることによって自己の体温調節がうまくいかなくなったために生じる障害の総称です。比較的軽症の熱けいれんや熱疲労、重症の熱射病があります。
炎天下のスポーツや作業が原因で起こることが多いのですが、車の中や屋内、とくに閉め切った室内、換気の悪い部屋、浴室などでも起こります。
私たちの体は約2/3が水分でできており、体温調整は水分が大きな役割を担っています。暑いときには汗をかいて、汗の蒸発で体温を一定に保ちます。ところが体温より気温が高いと汗をかいても熱が放散されず、体内に熱がこもるため体温が上昇します。そのため室内でも熱中症が起こります。
Q 水分補給ははとても大切なのですね。
A そうです。1日に体に入る水の量は、飲み水1500cc、食事から1000cc、体内でつくられる代謝水300ccです。一方、体から出る水分は尿1500cc、便200〜3009cc、呼吸や皮膚の表面からの蒸発700〜1000ccです。つまり、1日に約1500ccの水分補給をする必要があり、体内の水分最が不足すると脱水症を起こします。
高齢者が脱水症を起こしやすいのは、身体を構成する全体の水分境が減ってくること、のどの渇きを感じにくくなること、腎臓の働きが低下していることなどによります。
Q どんな症状が出たら脱水症を疑うべきですか。
A 一般的には、のどの渇きを感じたり、尿が濃くなる、尿量が減る、皮膚の乾燥、便秘、めまいや立ちくらみがある等です。
特に高齢者は、症状がなくても脱水を起こしていることがあります。37℃の微熱があるなど自律神経の機能低下によるものや、食欲の低下、何となく活気がない、何となく普段と様子が導っ点に注意します。
水分不足で口の中を清潔に保つ働きをする唾液の故が減ると痕の粘度が増えて細菌が繁殖しやすく、肺炎を併発することもあります。
Q さらに脱水がひどくなるとどうなりますか。
A 脱力感、血圧低下、血液の粘度が増して心筋梗塞や脳梗塞などの思わぬ合併症を引き起こしてしまいます。
意識障害が起きると、うつらうつらする、うわごとを言う、幻覚が出てくるなど認知症と似ているので間違えるケースもあります。
Q 水分は生命の営みに大変重要な働きをしているのですね。ところで、上手な水分の摂り方は?
A 水分補給には特に次の5つに気をつけてください。
@のどが乾いたら早めに水分補給を。特に高齢者は感覚機能の低下によりのどの渇きを感じにくいといわれています。加えてトイレに行く回数が増えるので水分を摂らないようにする人がいます。腎臓は老廃物を尿により排泄していますが、腎機能が衰えてくると脱水により尿量が減り、さらに腎臓に負担がかかってしまう危険があります。
Aゆっくりと少しずつ飲むように。回数を分けてこまめに水分補給をしましょう。
B極端に冷たいものより5〜10℃くらいの温度の方が、腸で吸収されやすく、ジュースなど甘い飲み物は糖分の摂りすぎになるのでひかえるようにします。
またアルコールも利尿作用があるので脱水症状を起こす原因となるため要注意です。
C汗と共に失われるミネラルを補うため、電解質を含む飲み水や少量の塩分を一緒に摂るようにします。スポーツドリンクなどが望ましいのですが、水500ccに食塩5gほどをまぜて飲んでも良いです。
D睡眠中はかなり汗をかくので、朝起きたら水を飲む習慣を是非つけてください。
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