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NO130
2009/6/10掲載
 医師・ナース・体験者が
皆で支える乳がん患者のケア 

▼治療、手術、抗がん剤だけでは足りない
▼患者さんの苦痛の軽減と生活の質を上げるために
 
土井卓子先生 

湘南記念病院
かまくら乳がん甲状腺センター長・乳腺外科医師
鎌倉市笛田2−2−60
TEL0467-32-3456
   

 
 

 がんは体の老化の一種と聞きます。高齢化で誰もががんにかかっても不思議ではないわけですが、がんの告知を受け、治療を受けて退院、再発予防の抗がん剤治療で終了というわけにはいきません。治療だけでなく、将来に対する不安や絶望感、再発や転移の心配、死に向き合うといった心のつらさもありますね。
A  はい。ですから、手術や抗がん剤治療後でも発症前と同じように暮らせるような手だてをするケアがとても大事です。入院中は同じ病気の仲間がいますが、退院したら一人での日常生活が待っています。
  私の専門の乳がんの場合でも、まず、髪の毛が抜けた場合の頭皮のケア、帽子やカツラの入手法、生えかえのフワフワ毛のシャンプー、眉毛も抜けるので、いつもと同じ位置に描く工夫、乳房を切除した人の補整下着や3〜4日貼り放しOKの人工乳房(温泉にも行ける)などなど毎日の生活をラクにする情報がとても大事なんす。しかも、そうしたニーズに応える開発は日進月歩ですから。
  また、手術した患者さんのQOLを左右する筋肉の萎縮をストレッチで伸ばして防いだり、リンパ浮腫にならないためのマッサージや体操なども非常に大切なケアなんです。

 そのようなサポートは患者会などで行われることが多いと聞きますが、湘南記念病院で実施というのは珍しいですね。
A そういうことは医者の仕事ではないといったイメージがありましたね。もちろん、大変な手間ですから医者だけで進みません。そこで、ナース、クラーク、コーディネーター、薬剤師、技師、フィットネスのインストラクター、栄養士とチームを組んで活動するシステムをつくったのです。
  対象者は、当病院の患者さんに限りません。保険扱いでもないので無料で対応しています。
  また、患者さんが気軽に集える部屋を設け、乳がん治療の参考図書や生活をラクにするケアの情報、パンフレットなども用意しております。
  体操教室も月2回開いています。水・金曜日の10〜16時までは、乳がんの先輩でもあるコーディネーターが相談を受けています。

 副作用などの障害も多い抗がん剤治療とのつき合い方は。
A 再発してしまうともう根本的に治ることはないわけですから、再発の可能性が高い人には抗がん剤治療を行います。
  抗がん剤治療の目的は、抗がん剤ががん細胞を退治するというよりも、通常ならがん細胞を退治する患者さんの体内の免疫細胞が自力だけでは負けそうな場合に、外から抗がん剤でちょっと力を貸してがんの塊を壊したりなどがん細胞の力を削いでやる。あとは患者さんの免疫細胞がうまく働いてがん細胞を退治し、治る、再発を防ぐ。これらを理解し、納得していただけると抵抗感なく抗がん剤の治療を受け入れられるようになり、効果も目に見えて上がります。
  こうしたときに、サハイパーでもあるコーディネーターさんの体験談による後押しが非常に大きいのですよ。
  といっても、がんとの闘いは長期戦ですから、気持ちが萎えるときもあります。時々、ハイキングに行ったり、毛糸の帽子を編みながらおしゃべりするなどのボランティア活動も行っているんですよ。

 セカンドオピニオン受けることについては、最近かなり一般化してきたようですが、先生のお考えは。
A そうですね。セカンドオピニオンを受けようとするのは、手術にのぞむとき、現在の治療法でいいのかと悩んで主治医以外の意見を確認したいとき、最先端の医療を受けたいときなどです。
  私が患者さんに行ったアンケートでは85%の人がセカンドオピニオンを知っていましたが、受けた人は5%、患者会員でも20%に留まっています。どうもセカンドオピニオンという言葉が一人歩きしていて、正しい受け方がわからないのではと思うのですね。
  セカンドオピニオンにはメリット、デメリットがありますから、上手に活用してほしいですね。

 
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