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NO130
2009/6/10掲載
 物忘れが激しい!
もしかして認知症? 

▼早めの正確な診断が一番の対策
▼脳にいい刺激をいつも与えると進行が遅れる
 
岡田 昇先生 

林間病院院長
精神科医師
鎌倉市鎌倉山1−23−1
TEL0467−32−2550
   

 
 

 歳でもの忘れが激しくなり、認知症になったのかなと心配になることが多いのですが、健忘症と認知症の違いは。
A  まず、ご自分で物忘れが多いと認知症を心配するのはうっかり忘れ″であって、いわゆる健忘のレベルです。
  認知症の方は、物忘れなどの障害に気づかなかったり、無関心で、心配になって病院にいらっしゃるということはまずないですね。エピソード記憶の低下というのがあります。例えばご飯を食べたばかりなのにまだ食べていないなどと体験した事の全体を忘れてしまう、あとで思い出すことは困難なケースです。

 それは老化現象ではないのですね。
A そうです。認知症は病気ですからね。今では80歳の4人に1人は認知症といわれるほどです。加齢が原因と絶望視されていますが、認知症には大別して@脳細胞が変性して縮むタイプ。アルツハイマー病、レビー小体病、ピック病などがそれにあたります。A酸素や栄養を運ぶ脳血管が詰まる脳梗塞によるタイプがあります。それ以外に認知症状を呈するものとしてB甲状腺機能低下などの分泌・代謝性の病気によるタイプ。C服用している薬やアルコールなどの中毒。Dエイズやヘルペス脳炎などの感染症。E頭を打ったなどの外傷性によるもの。F水頭症や脳腫瘍によるものといったように多岐にわたります。

 以前は痴呆と呼ばれ、本人や家族も恥ずかしいと隠す場合が多かったのですが、今は認知症は病気という認識が広まってきました。やはり、早めの検査、診断が第一ですか。
A はい。ともすると絶望視される認知症ですが、EやFのケースは外科的手術で治ることもあります。アルツハイマー型に対しては、病気そのものを完治する効果はないものの、認知症の症状の進行を遅らせる薬があります。
  脳血管障害も、脳卒中を起こさないよう治療することで、進行を止めることができます。他の病気同様、認知症も早期発見、早期治療ですね。
  初診でご家族に聞くと、「2〜3年前から始まったかしら」という答が多いのですが、最近では過渡期の状態にある軽度認知症も診断できるようになりました。この段階では脳血管タイプなら、感情・意欲の障害が主で少し認知機能が落ちたところでしばらく安定し、また落ちるという階段状に進行します。
  アルツハイマー型も、直線的でなくなだらかに認知機能が落ちていきます。
  肺炎や骨折などによる入院や転居なども、認知機能低下を促進する要因です。ご家族が早い段階で気づいて受診し、予防措置や適切なケア、専門的施設などの社会的支援を受けるようにすると、認知症への移行、進行を遅らせ、結果的に、本人やご家族が苦労せずにすむのです。
  いずれにしろ介護は長期にわたるものですから、家族だけで抱え込まずに、社会的なサービスを活用すると、介護者も余裕ができ、専門のケアを受けることにより患者さんも他人との交流ができることで脳にも良い刺激を与えることになり、認知症の進行を遅らせることにつながります。

 鎌倉市唯一の精神科病院である林間院は統合失調症や躁鬱病などの精神疾患以外に、認知症の治療も行っているのですね。
A そうなんです。これだけ社会的なニーズが高くなると、地域医療機関としても内因性の疾患を対象とするだけでは済まなくなっています。現に、関係施設などから認知症の周辺症状などの治療依頼が増えていますしね。

 
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