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夏八木夫妻と筆者(左端)
5月11日、ミセスまりちゃんから「勲さんが・・・」という電話。ハッと思った私は急ぎ常盤の夏八木宅に向かった。しかし時既に遅く、彼は静かに横たわり、傍に今井医師と介護の方々がおられました。私は彼の顔を見つめ、半世紀以上続いたつき合いの数々の場面を思い浮かべていました。
彼は千住生まれ、勤勉で誠実。若い頃は外交官志願。慶大仏文に入学した。ところが、授業にあまり出席せず、私の家に泊まり食事をしていたこと。そして、ふたりで町道場や本部道場で柔道・合気道で大汗を流したこと。これでは外交官試験は無理、そんなある晩、私の妻が「役者志願」を勧めたのだった。文学座養成所では江守徹君、俳優座15期生の高橋長英、前田吟両君とよく呑み語ったこと。彼の最初の主演映画「牙狼之助」が京都で撮影、そこでまりちゃんと出会ったこと。
私がロスで会社を始め、ニッスイと当社の独自の寿司ネタ「鰻の蒲焼」と「燻製サーモン」のテレビ広告出演を、無償で引き受けてくれたこと。その効果もあってか、全米65ヶ所に代理店網を築いて寿司ネタ販売が急速に拡大したこと。そして帰国後、新年はいつも盃を傾け日本酒を味わったこと。今年1月は「希望の国」で芸術選奨ゴールデン・グローリー賞と数々を受賞したことなどが、脳裏を走り抜けたのです。
今頃は先に逝った15期生、原田芳雄、地井武男、斉藤燐たちと、彼岸で好きなアフタヌーン・ティを楽しんでいることでしよう。
最後に親友の死を悼み、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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