NO162 2012/9/10 掲載  

Q 重い心臓病の私が重度の認知症の妻をケアする老々介護の日々です。しかし、夫婦でも名義が違うと多額の預金は下ろせないと銀行から払戻しを拒否されました。 妻の預金を払戻すにはどうすれば良いでしょうか。

A 家庭裁判所(以下家裁)に後見開始の審判を申立て、あなたが成年後見人に選任されれば後見人として奥様の銀行預金の払戻しを行うことができます。
 また、あなたも高齢なため、近い将来に判断能力が低下したり、奥様より先に死亡したりする恐れがありますから、もう1名成年後見人を選任しておき、併せてあなたが任意後見受任者を選任して、死後の事務を委任しておくと、万一あなたが先に死亡した場合でも安心です。任意後見受任者を選任するには公正証書による任意後見契約の締結が必要です。

Q お盆で実家に帰省したら、独居の母が訪問販売で外国製の高額な掃除機や羽毛布団を購入していました。認知症が進んでいるようで心配ですが、私は遠くに住んでいるので面倒を見るにも限界があります。対処法を教えて下さい。

A お母様の認知症の進み具合によって判断能力が異なりますので、先ずお母様の判断能力を診断してもらう必要があります。かかりつけの医師でも診断してもらえますのでその先生に相談して下さい。判断能力が診断されれば、その程度に応じて、軽い方から補助、保佐、後見のいずれかの開始の審判を家裁に申立てすることになります。
お母様と遠く離れて生活している場合は、第三者の後見人等を立てる必要があります。保佐又は後見の場合には保佐人又は後見人は契約の取消権を持っていますが、補助の場合は家裁の審判で特に付与されない限り補助人に取消権はありません。従って、悪徳商法への対処方法としては、家裁で「価格〇〇万円以上の商品購入は補助人の同意を要する。」などの審判をもらえば、後から契約を取り消すことができます。
なお、認知症については、近くの地域包括支援センターに相談して介護認定を受けると介護保険の利用ができます。

Q 一人書らしをしている母の成年後見人をしていますが、最近母の認知症が進み、独居が困難になったので、家を売却して施設入所の費用にしたいのですが、どのような手続が必要なのでしょうか。

A 成年後見人は、本人の財産管理に関する代理権があります。ただし、本人居住の不動産の処分は、事前に家裁の許可を得る必要があります。家を売却する必要性について取りまとめ、家裁に売却許可の申立てをして下さい。家裁の許可が得られれば、通常の不動産と同様に売却ができます。居住用不動産は本人の生活の拠り所なので、これを失うと本人の生活に重大な影響を与える可能性があるため、慎重な取扱いが必要なのです。
(このQ&Aやその他の疑問、質問がございましたらお気軽にお問合せ下さい。)

 
 
 
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