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NO129
2009/5/10掲載
 今、増えている
逆流性食道炎 

▼食道と胃のつなぎ日がゆるいため起きる食道の炎症
▼典型的な症状は、食後の胸やけ
 
小林健二先生 

大船中央病院
内科医師
鎌倉市大船6−2−24
TEL67−45−2111
   

 
 

 食後の胸やけ、あるいは食物がノドにつかえる感じなどは、病気とは認識していなかったのですが、食道の病気と聞いて驚きました。
A  逆流性食道炎といいます。胃液 (胃酸) が食道に逆流して酸に弱い食道の粘膜を傷つけてただれさせる、かいよう潰瘍をつくる、ただれが治ったあとがひきつれて食道が細くなるなどの病気です。
  データ(2005年)では、この18年間で4倍も増えています。欧米では、ずいぶん前からかなり問題視されていましたけどね。
 

 胸が痛いので心臓が悪いのではないかと調べてもらったら、逆流性食道炎と知ってびっくりしたという人がいます。このように胸やけ以外にも症状はあるのですか。
A 心臓の痛みと区別がつかないといった感じは、胃酸が食道に逆流することにより生じると考えられていますが、胸やけでなく痛みとして感じる理由はまだ明らかではありません。
  病名は食道炎ですが、他に耳鼻科からは、胃酸がノドを刺激し声帯をおかして声がかすれている、呼吸器科からは肺に胃酸が入ってぜんそくの発作やセキが続く、歯科からは、胃酸が口の中に入って歯のエナメル質を溶かすなどといった患者さんを紹介されることがあります。

 男性に多いといわれる痔療というのは。
A 痔癖の痕はばい菌の通る道という意味なんです。歯状線の小さなくぼみに大腸菌などが入り込み、感染して肛門の周りにウミがたまって直腸、肛門とつながったウミの管ができたもので、出口がふさがると痛みと熱が出ます。
  これは、複雑に拡がるので手術も難しいし、再発率もちょっと高いですね。
  以上は、痔の三大疾患といわれるものですが、問診票などの記載で医者はどういう病気なのかだいたい見当がつきます。

 検査法は、内視鏡ですか?
A そうです。他に、食道のぜん動運動 (食道は筋肉
の筒で口の方から胃の方に波のように流れていく筋肉の動き)がちゃんとあるかを測定する検査や、食道のpHを測定する検査も行うこともあります。
  ただ、気をつけないといけないのは、症状がすごく強いのに内視鏡ではそんなにただれていない場合があります。
また、何か悪い病気が隠れていることもあります。例えば、長いこと胃酸にさらされると食道の粘膜が酸に強い胃腸の粘膜に置き換わるパレット食道に変身することがあります。このパレット食道にはがんが発生しやすくなります。

 となると治療は手術に……?
A いいえ、まずお薬を処方します。胃酸を中和する薬、胃酸の分泌を抑制する薬、ぜん動を改善する薬など、現在はよく効く薬があり、連用しても副作用は比較的少ないので症状の軽い場合は数日でよくなります。ただ、カゼのようにすぐ治る病気ではなく慢性の病気ですから、ぶり返すことが多いのです。最低数週間から1ケ月はそのような薬を飲まないと効果がわからないこともあります。
  しかし、薬を飲んでも胸やけがおさまらない、食道の下部がしょっちゅうただれている等重症の場合は、ゆるんでいる食道と胃のつなぎ目に胃の一部を襟巻きみたいにグルッと巻いてその部分をちょっときつくすることや、食道が細くなっている場合はカメラを入れて拡げる手術を行います。処置の方法は特殊な検査によって適性をよく調べてからということです。
 
     
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