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NO127
2009/3/10掲載
 アトピー性皮膚炎の治療は
まず、皮膚を安定化させ、再発を防ぐ 

▼軽症は保湿剤を中心にスキンケアで
▼ステロイド軟こうによる副作用は心配ない
 
堀向健太先生 

鈴木病院
小児科・アレルギー科医師
鎌倉市腰越1−1−1 
TEL 0167−31−7651
   

 
   2月はアレルギー週間がありました。アレルギー体質の人はアトピー性皮膚炎(以下アトピー)になりやすいといわれますが、アトピーの症状は。
A  まず、かゆみがあることです。皮膚にプツプツができてもかゆみがなければアトピーではありません。乳児は顔、手足の外側、学童期になると手足の曲げる内側、成人なら背中にといった典型的な部位にかゆみ、赤み、かさつきといった症状が出ます。それも慢性的に(6ケ月以上)続くといった特徴があります。
  かゆいから掻きますよね。すると掻けば掻くほどどんどん悪化していきます。ですからどこかでそれを断ち切らないといけません。
 
 子供に限らず、成人にまでアトピーが増えているということですが、なぜアトピーになるのでしょう
A 生後4ケ月から大学生までの有症率は10%前後で、その8割は軽症です。アトピー素因(アレルギー体質)の人がアトピーを引き起こす要因(アレルゲン)に触れて悪化します。個人差もありますが、アレルゲンとなるのはダニ、ハウスダスト(ホコリ)といった環境アレルゲンです。ホコリ1c中にアレルゲンであるチリダニの量を調査したら、日本は特に多い地域というデータがでています。加えて、冷暖房設備の普及やアルミサッシなどによる住まいの密閉化、じゅうたん、ソファーなどの現代的な生活がダニやカビを繁殖させているといえます。

 離乳食を早く始めたり、消化能力を超えていろいろな物を与えすぎるとアトピーになるという説もありますね。
A それに関してはほぼ否定されています。過剰な食事制限は体の成長や脳の発達を妨げます。また、食物アレルギーを合併している場合はアレルゲン検査などを行いますが、その結果が陽性だからといって、その食物が食べられないということではありません。あまり神経質にならず専門医の指導を受けてください。

 治療はステロイド剤?
A アトピーの基本的な治療は アレルゲンを避けることですから、まず環境整備をすること。しかし、かゆみが強くて大変な場合は皮膚を清潔にしてステロイド剤と保湿剤をキチッと塗る。最初はこれを1日3回繰り返して、炎症を軽くしかゆみのない状況をつくり、徐々に回数や薬を減らし、1週間から1ケ月位で皮膚を安定化させます。
  アトピーの治療は、治癒が目的なのはもちろんですが、まず皮膚を安定化しアトピーになりにくくすることをめざします。

 ステロイド軟こうの副作用は?
A ステロイド剤は、副腎皮質ホルモンの別名で、炎症を軽くする作用があります。一口にステロイド剤といっても、副作用は全身的なものから局所的なものまであります。全身的な副作用を起こすのは、内服薬や点滴で1ケ月も使うといった場合です。
 軟こうでも薬効には加倍から1000倍程度の差があり、強い軟こうを何ヶ月も連用するなどで、皮膚が薄くなったり、毛細血管が拡張したり、妊娠線のような皮膚線条ができたります。薄くなった皮膚は中止すれば回復します。
 医師は皮膚炎の部位や範囲、患者の年齢、性別、皮膚の状態を考えて処方しています。副作用が怖いからステロイド剤を使わないと重症化し、より強いステロイド剤を使うことになって逆効果です。
  アトピー患者さんの7〜8割は軽症ですから副作用を起こす程のステロイド剤は使いません。ステロイド剤を恐れないで、第一に皮膚を安定化させると徐々にアトピーになりにくくなって、十分コントロールできますよ。
 
     
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