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NO123
2008/10/10掲載

 血液のPSA検査で 
▼前立腺がんは早期発見できる
▼がんの治療後の経過、再発後までも
 
下村達也 先生
(しもむら たつや)
 

鈴木病院
泌尿器科医師
鎌倉市腰越1−1−1
0467-31-7651
   

 
   加齢と共に前立腺がんが増えていますが、何の前ぶれもない?
A  がん自体の前ぶれはないですね。尿に勢いがない、いきまないとおしっこが出ないなど、前立腺肥大症の症状があって、検査をしたらがんがみつかるということはあります。
 
 前立腺がんと前立腺肥大症の症状は同じですか?
A 前立腺がんが尿道を圧迫するようになると、肥大症と同じような排尿障害を起こします。肥大症とがんが同時に存在することもあります。がんだけで症状が出ているとしたらがんが大きくなってしまっていることが多く、また、尿路の症状なしに、骨転移による腰痛を起こすこともあります。

 となると心配になったら検診や人間ドックで検査すべきですね?
A そうですね。前立腺がんの発見にはPSA(前立腺特異抗原)検査がとても有効です。特に、早期がんのほとんどはPSA検査が診断のスタートとなります(確定診断には組織検査が必要ですが)。通常の検診項目には入っていないが、血液検査ですので、かかりつけの医療機関で検査可能です。現在はキット化されており、大きな病院でも診療所でも検査の精度に変わりはありません。50歳をすぎたらPSA検査をうけることが推奨されます。

 PSAについてもう少し詳しく知りたいのですが?
A PSAは前立腺組織より分泌される糖タンパク質の一種で、通常、血液中には少量存在します。
  前立腺の病気(前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がん、など)によりPSA値は上昇します。通常、基準値は4.0mg/mlに設定しています。ただし、この値以下でもがんが見つかることもあり、基準値をもう少し低く設定している施設もあります。
  前立腺がんの場合、PSAの値の大きさは前立腺がんの大きさやがんのひろがりを反映します。治療前に高かったPSA値が治療によって下がれば、がんがコントロールされていることを示します。また、一度、下がったPSA値が再度上昇してきた場合にはがんの再発が疑われます。

 がんが見つかったら?
A まず、ステージング(病期分類)を行います。
  治療法は、早期がんであれば、主に手術療法または放射線療法が選択肢となります。
  手術療法には開腹手術と腹腔鏡手術があり、放射線療法には組織内照射法と体外照射法とがあります。それぞれに一長一短があり、また、施設によって設備などの点から、できる治療とできない治療がありますので、治療法の選択には主治医の先生に聞くのがいいでしょう。また、手術にしろ、放射線治療にしろ、医療技術や医療機器の進歩によって合併症の頻度はかなり低くなってきました。
  転移がある場合は、ホルモン療法など薬による治療が中心となります。

 治療後のフォローは?
A 早期がんで手術や放射線治療を行った場合、もちろん根治が期待できますが、再発することはあり得ます。そのため、前立腺がん治療後も定期的なチェックが必要で、PSA検査を定期的に行ないます。通常は、治療後にPSA値は低くなり、そのまま続きます。しかし、再発がおこるとPSAが上昇してきます。細胞のレベルでの再発と考えられ、画像診断で再発が確認されたり、再発による症状が出現するかなり前からPSA値が上がってきますので、この値を見ながら治療を考えていきます。
  そして、その後のPSA値の上がり方(どのくらいのスピードで上がってくるか)は、再発したがんがどれくらい悪影響をおよぽすのかを予測する指標になります。PSA値の上がり方の早い方は、そうでない方に比べて悪影響を及ぼしやすいタイプのがんであると予測されます。

 
     
 
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