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NO119
2008/5/10掲載

 大腸がんの6〜7割は 
大腸ポリープからできる 

 
  山川 満 先生

佐藤病院副院長 
外科医師
鎌倉市御成町9−5
0467−23−11111
▼定期的な大腸内視鏡検査で大腸がんは確実に予防できる
 

 
   4月から佐藤病院の外科は、医師3人体制となり充実を図りました。そのなかで山川先生の消化器外科というのは?
A  まず消化器には消化管と実質臓器があります。食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸が消化管で、肝臓、膵臓などが実質臓器。私の担当は、これら消化器にできるがんの手術と一般外科となります。
 
 3人に1人ががんで亡くなる時代で、がんは怖い病気です。とくに女性のがんのトップは大腸がんということですが、その予防策というのは。
A 一般的には飲食物、喫煙、感染などの生活パターンが危険因子とされ、大腸がんはこれに高脂肪食も加わります。ですが、がんはある日突然になるわけではありません。人間の体をずーっと辿っていくと細胞を造る遺伝子に行き着きますが、がん遺伝子系統の障害が起こって発生することがわかっています。
  ただし、遺伝するということではありません。

 ということは、がんもまた生活習慣病ということですか。
A そうです。がん家系といわれ両親が胃がん、兄弟も半分が胃がんでというのなら遺伝という観点からも要注意ですが、ほとんどは後天的な生活習慣でがんは発現するのです。
  ですが、いまのところがんの発育と発生に関して目で見ることができ、おおむね状況を把握できるのは大腸がんだけなんですよ。

 遺伝子レベルのことが専門家でなくても具体的にわかるのですか。
A 大腸ポリープという言葉を聞いたことがあると思いますが、大腸ポリープは粘膜が盛り上がったもので、代表的なのは大腸腺腫です。良性なんですが、これが次第に大きくなって2〜3a位になると腺腫の表面からがん化して進行がんになります。大腸がんの6〜7割はこのような腺腫から発生するのです。
  内視鏡で良性の腺腫がだんだんがん化するのを臨床的に人の目で確認することができるのは大腸がんだけなんですよ。

 大腸の内視鏡でポリープが見つかると取ってしまうというのもそのためなんですね。
A はい。胃の場合は、ポリープの組織検査をして良性と確認できれば、よほど大きなポリープでない限り切除する必要はないわけですよ。何年かたって胃がんになったというのは、非常にまぎらわしいポリープで判断がつかなくて実はがんだったというケースです。他のがん、例えば食道がんなども基本的にはそうなんです。
  ところが、大腸がんだけは良性で発生しても大きくなる過程でがんになっていくのですよ。

 いつがんになったのかわかりますか。?
A がんは深く静かに成長し、10年から20年経ってある時期になると、ダブリングタイムといって2倍、2倍と急カーブで成長するんです。 いつがんになったのかは、ずっと内視鏡検査を定期的に行っていなければ判断がつきません。何しろがん細胞は特殊で、細胞寿命が長い、抑制の効かない異常増殖、細胞機能の喪失、粘膜を破壊して横に這っていったり縦に入り込んだりして成長するなど、良性の細胞にはない動きをするのが特徴なのです。

 そのような大腸の異常が検便でわかるのですか。
A いいえ、ポリープやがん細胞は出血しやすいので、検便で精密検査をした方がいい人をふるい分けるのです。便の潜血反応は非常に精度が高いのですが、胃の透視のように大腸を直接見ているわけではないので、便秘や下痢、腹痛、おなかが張るなどの症状を最優先します。

 進行がんの場合、大腸を取ってしまうのですか。
A 大腸は1bもありますから複数でない限りは、たいがい半分は残せますよ。神経や肛門を残すことは、生活の質を保つために、非常に大事なことなのです。
 
     
 
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