NO113
2007/10/10掲載
 効果的な健診・ドックの受け方 
  健診を受ければ健康になれるわけではない
  鈴木 秀夫 先生

湘南記念病院
院長
鎌倉市笛田2-2-50
TEL0467-32-3456
健診結果に応じた保健指導で生活習慣病を予防
 

 
 

 鎌倉市の健診制度は充実しているといわれます。湘南記念病院では、健診や人間ドックといった予防医療にとても力を入れていますね。
 はい。ある日突然に狭心症などの病気を起こしても、 日頃のデータがあれば、的確な治療ができ手遅れが防げます。そのためにも年1回の健診は必ず受けてほしいですね。

 自分の健康は自分で守るということですね。
 だいたい誰にでも気になることがあるでしょう。それで健診を受けると安心されるのでしょうけどね。しかし、健診を受けたから健康になるわけではありません。健診の結果を聞きに来られる人は、私の経験では半分位で、後の半分は結果の通知を受け取るだけです。
  結果を聞きに来られる人でも気休め″的な人が多いですしね。だから当院では、データが悪いときは、ハッとするような通知の仕方を考えて実施しているんです。(笑)

 がん検診で異常が出たとすると待ったなしですが、基本健康調査では対応が違ってきますか。
 検便による大腸がんなどは、発見率が高いですよ。がん細胞は出血しやすいので、ほとんどが早期がんです。
  ところが、基本健康診査は生活習慣病の予防が目的ですから、食事や運動などの生活習慣を変えるというのは大変ですからね。

 市の40〜64才の健診で、要指導・要医療の人を合わせると約75%、65才以上は約80%と高率です。つい、仕事が忙しいとか、思いがちですね。
 それに、健診を受けない方の健康が問題なんです。
  また、健診の結果を聞きに来ても、日常生活の改善に真剣に取り組まないなど、健診後のフォローが大切だし、これが難しいんですよ。
  健診は、ふくらみ続ける医療費を節約しようとして、国は力を入れてきたわけですが、検査だけではなかなか効果が出ません。

 国は寿命と健康寿命が同じになるようにPPK(ピンピンコロリ)作戦を強化しようとしていますけど。
 そうなんです。それで来年からは、生活習慣病いわゆるメタポリックシンドロームの予防を重視した新たな健診(特定健診)・保健指導(特定保健指導)をスタートさせ、健診の費用も国が持つのではなく、医療保険者(市区町村国民健康保険、国民健康保険組合、健康保険組合、政府管掌健康保険、共済組合など)が持つように変わります。

 となると、加入している医療保険によって、健診の中身や自己負担率も異なってきますね。病気の心配を抱えている人は、より詳しいデータを知りたいので専門の人間ドックを受けようとするのでは?
 人間ドックは半日、1日、2日コースがありますが、基準になるのは1泊2日コースで、その日だけの日帰りコースは健診とあまり変わりません。それに脳の画像診断だけを受けるなどというのは中途半端。たとえば、脳梗塞は脳だけに問題があるわけではないんです。いつもの血液や血管の状態を一般健診で検査し、それを併用するようにしていくとよいですね。
  ドックの場合は、検査項目が多いので、結果を報告書にして送るのですが、本人はそれを読み流しておしまいというのが多い。毎年1回ドックを受けても、データをためておくだけでは受けた意味がありません。そのデータを診て、生活を改善し、将来起こりうるであろう病気を予防する努力をしていかなければ…。そのためには、本人のやる気を起こさせる動機付けとなるような保健指導が大切なんですね。
  来年度からは健診の結果をふまえた保健指導が重要視され、その人の健康状態に合った生活習慣改善のためのサポートを専門家から受けられるようになります。
  当院は、市民健診が始まって以来現在まで、病院の一つの業務として受診された方の健診データはすべて個人情報保護に配慮しつつ保管しておりますので、これらのデータを参考にしながら指導体制を充実しようと準備しております。
  以上のように、来年度からは制度の方式にも変化があります。細部については、説明会等が始まったところで、機会を見て詳しい内容をご紹介することになるかと思っています。

 

 
 
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