鎌倉生活 2014年 3月15日号 1ページ  
 

 人がいて自治体がある

  最初に今井照福島大学教授が「市民自治と協働〜自治体は何のためにあるのか」をテーマに講演。震災と原発事故で復興ままならぬ福島の状況を目の当たりにし、「大移動など、役場は平時から鍛えておかないと緊急時には役立たないことを痛感」。
日米を比較し「人がいて自治体があるのであり、土地があって自治体があるのではない」と語る。
とくに日本の市民参加は、役所は市民活動を支援しているといい、市民は役所を支援しているというすれ違いがあるという。
こうした市民の壁、行政の壁を乗り越えるには、市民は相互に議論し、それを議会、行政に提示、議会は一定の方向性を決め、行政は実施可能性を検討し、市民と共同で実施をという提言。

  ファンをつくり着地型観光を

  次に登場した良川崇東洋大学准教授のテーマは「観光の新潮流と官民協働」。やはり東日本大震災の教訓から、「平時の時、観光はこんなにカがあると言っていたのが、有事には自粛に。はたして観光に力があるのか、初めて気づかされた」という。
 その上で、改めて観光の役割を分析。まず、観光地化がもたらすメリット、デメリットを解説。しかし、デメリット、メリットは、コインの裏表の関係に。大事なのは、必ず終焉するブームには頼らず、観光客、地域住民、観光事業者の三方一両得の関係を築くこと。
「そのキーワードはフアンをつくること」なのだという。
 そして、あくまでも実績よりも顧客満足にウエイトを置き、官が裏方、民を主体の役割分担の、地域イニシアティブによる着地型観光の推進をすすめる。

  まち美化はまちづくりの第一歩

  休憩をはさんで市が進める「鎌倉市の地域経営型PPPの構想」を比留間彰政策創造担当部長が解説。
 PPPとは、パブリック プリベート パートナーシップの略で、公民連携で公共サービスを行っていこうという試みだ。
 昨年末JR鎌倉駅東ロで試みた、鎌倉のまちづくり施策にスイカやPASMOでタッチし賛否を問うディスプレイ「かまくらタッチ」の設置もその一環。
 締めは、この3氏に鎌倉を美しくする会代表の高田晶子さんと神奈川県横須賀三浦地域県政総合センター企画調整部長の香川智佳子さんも加わり、日本総研総合研究部門部長の柿崎平さんの司会でパネルディスカッション。
 「まち美化はまちづくりの第一歩」と、散乱ごみ防止、公衆トイレ美化、違反広告除去、バス停ベンチ改善などの高田さんらの活動が報告され、他の参加者から高い評価を受けた。これからはこの町が好きだという人(ファン)にもまちづくりに参加してもらう。そのためには行政、市民ともに意識改革が必要。
 会場からも「鎌倉のおもてなしは何か」からの発想をという意見も出た。
 新しい鎌倉のまちづくりを皆で考えようというこのようなシンポジウム、まち中での気軽な開催も期待したい。

 
 
 
 

鎌倉まつり開幕!

 

  鎌倉を彩る春の一大イベント鎌倉まつり(4月第2日曜日〜第3日曜日は4月13日、若宮大路から鶴岡八幡宮までのパレードで開幕。桜満開の 鎌倉は春色につつまれ、鶴岡八幡宮で開催される恒例の静の舞、流鏑馬、さらに伊豆の国市子とも創作能にも注目。野点でお茶をたしなみながら、中世の鎌倉に想いをはせるのもいいのでは。

〈主な日程〉

4月13日(日)
●パレード
11時〜   若宮大路〜鶴岡八幡宮
●2014ミス鎌倉お披露目
13時〜  鶴岡八幡宮
●伊豆の国市子とも創作能
演題「伊豆の頼朝」
14時〜  鎌倉宮
●静の舞
15時〜  鶴岡八幡宮舞殿

4月20日(日)
○流鏑馬
 〜東日本大震災継続復興支援義援金事業〜
13時〜  鶴岡八幡宮馬場

4月12日(土)〜20日(日)
●「鎌倉」プロモーション  フォトコンテスト2014
10時〜15時30分  鎌倉宮アートスペース

「野点席」
4月13日(日)・16日(水)
10時〜15時  安国論寺境内(橘会)
4月18日(金)・19日(土)
10時〜15時  鶴岡八幡宮境内(表千家流)
4月19日(土)・20日(日)
10時〜15時  鎌倉大仏殿高徳院境内(裏千家)

 その他、協賛行事として頼朝祭俳句会(鶴岡八幡宮直会殿)、弓道大会(鶴岡八幡宮研修道場)、潅仏会(花祭り)(建長寺)、義経まつり(腰越満福寺)なども実施。
※詳細は鎌倉市観光協会(tel23−3050)
またはホームぺ−ジ(http://www.kcn-net.org/kamakura/
をご覧ください。

 
copyright (C) YUUGISHA. CO.,LTD All Rights Reserved
about us/自費出版