「うわー、おフトンみたい」と、思わず飛び出た歓声。それもそのはず、70cmX135cmの真っ白な紙に、大きな筆にぽたぽたたれるほどたっぷりと墨汁をつけ、好きな文字が書けるのだ。子供たちの目はキラキラ輝く。
夏休みも終わりに近づいた8月27日午後1時半、腰越学習センターの地下ホールは、20名余の小学生等やお母さんたちでにぎやか。この日は、腰越学習センターの主催による「大きな紙に、大きな筆で、大きな字を書こう」の会場となり、床一面のブルーシートには白い紙がセットされ、参加した子供たちの挑戦が始まった。
紙の上に乗って
好きな字を書く
ポニーのしっぽほどもある筆に墨を含ませたはいいが、自分の身長ほどの大きな紙にどう書いたらいいのかためらう子供に、「紙の上に乗って、踏ん張らないと書けないよ」と日本総合書芸院の先生が声をかける。
書くのは自分の好きな文字。エイッとばかりに筆を下して横にグイッと引く、「夢」という字に挑戦の里奈ちゃんは、見事な字に満足げ。署名し、赤のポスターカラーで手形を押して完成、すばらしい作品の出来上がり。
書の面白さを 体験してほしい
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常任理事 井澤洋高さん |
日本総合書芸院がこのイベントを始めて今年で4回目。
「今は学校でも書道にあまり重きを置いていない。筆順も乱れていますしね。でも習字は気持ちを落ち着かせますし、何といっても面白い。普段は、机に座ってお手本を見て書くのですが、この日は好きな字を大きな紙に大きな筆で思いっきり書いてもらう。子供たちに書の面白さを味わってもらいたいのです」と常任理事の井澤洋高さん。
会場では次々と作品が仕上がっていく。「ドンと書きなさい」、「もっとどっしり行きましょう」、「墨がたれても大丈夫、気にしない」など、先生たちも熱が入る。
大きな紙一杯に「星座」を書き上げた中村航君は小学6年生。書道を習って1年ということだ。
「面白い。帰ったらお父さんに見せる。飾っておきたいな」とにっこり。
家に飾っておきたい
「大きな紙に書くというのは、気持ちを込めて、感情移入できる。歪んでも面白い」。高校生になると芸術性を目指すようになるが、小学生から中学生は、思いをそのまま紙に書く。それがいいのだと井澤さん。
休憩を挟んで2枚目に挑戦。子供たちはすでにいっぱしの書道家だ。最後にお母さんも登場し、負けじと腕を振るう。
作品は、持ち帰る。
「飾っておきたい」、「またやりたいな」という声を残し、小さな子供たちの大きな字を書くイベントは3時半に終了した。
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