鎌倉生活 2013年5月10日号 1ページ  
 

    早くから長い列が   

  好天にめぐまれたこどもの日、子どもたこあげ大会会場の材木座海岸滑川口に設けられたテント前には、10時の受け付け開始を待ってすでに30分も前から参加希望親子の長い列。「初めて参加します。子どもと一緒に楽しみたいですね」と坂の下から来たという親子。その後ろには孫の手を引くおじいさんの顔も。
 「今年はかなり多いようですね」とこの大会を主催する鎌倉市青少年指導員連絡協議会会長の武井正雄さん。
 子どもたこあげ大会は半世紀を超える歴史がある。「健全な子供の育成を願って端午の節句に行ってきた」という。しかし近年、凧あげなど伝統の遊びはすっかりすたれてしまった。それだけにこの行列に関係者の顔もほころぶ。
 参加者は先着80名、1家族に1枚100円で手作り和凧が販売される。すべて鎌倉凧の会の指導を受けた青少年指導員の手づくり。アンパンマンやドラえもん、ポケモンなど子供の喜ぶキャラクターが描かれている。
 参加希望者が相次ぎ、結局九十数枚の販売となった。

  舞い上がる凧に歓声     

  
 10時30分開会式。「海岸を展示場に皆さん高々と凧をあげてください。」(鎌倉凧の会副会長・藤原隆彦さん)等のあいさつの後、各々好きな凧を手に、ビニールの足をつけたり糸を調整するなど準備を終えると、さあ待ちに待った凧あげ。
 高々と片手に糸を持って駈けだしたのはいいが、凧は砂浜を滑空したり、少し上がるとすぐに急降下したりと凧はなかなか上がらない。さっそく鎌倉青少年育成の会の
メンバーや鎌倉凧の会のおじさんたちが助っ人に。
 風も次第に強くなり、アチコチから凧が舞い上がる。「わー、上がった」と喜ぶ子ども、その姿をカメラにおさめようと一生懸命のお母さん。と思えば、凧上げに夢中のお父さんの足下で子供は砂遊びといった光景も。

  凧とトンビの競演も   

  風に乗ると凧はぐんぐん上がる。ドラえもんのたこもハンカチほどの大きさにしか見えない。空を舞う凧の間を何羽ものトンビが回遊する。
 なかには自前の凧を持参してあげる人、鎌倉凧の会のは1m幅の頑丈そうな凧を…。
 見ると、ヨガの練習をする一群がいたり、海岸をジョギングする人、散歩する人と材木座海岸はのどかな初夏の光景があちこちに。
 ちょっと油断すると隣の凧とからんでしまうから目が離せない。しかし、からんだ糸が線で仲良しになって砂浜を跳びはねている子供たちも。

  閉会後も子供たちの 歓声が響き渡る   

  11時45分、予定を少しオーバーして大会終了。子供たちには、開会時にもらったワッペンと引き換えにお菓子が配られる。
 大事そうに凧をかかえて帰る親子。靴を脱ぎすて波打ち際を走り回る子どもたち、解散後も凧上げを続ける親子もあって、子どもの日の材木座海岸は子どもの声がいつまでも響き渡っていた。


 
 
 
copyright (C) YUUGISHA. CO.,LTD All Rights Reserved
about us/自費出版