養生しっかり黙々と作業
3月2日土曜日の午前9時、腰越中学校2階の多目的ホールに生徒、職員、PTA、おやじの会メンバー、主婦など約80人が集合した。今年の塗装箇所は、新校舎入口1階の廊下と2階の廊下。作業は午前が粗塗り、昼食をはさんで午後が仕上げという段取り。参加者も午前だけの者、午後から参加する者、1日参加の者とまちまち。昨年4月に赴任しペンキ塗りは初体験という石渡篤美校長、ペンキ塗り生みの親・おやじの会代表の中島行信さんのあいさつの後、9時15分作業開始。
といってもすぐに刷毛を手に塗りに入るのではない。まずは下準備から。
「養生をきちっとやらないと汚してはいけないところにペンキをたらしたりして取り返しのつかないことになる」と指南役を担ってきた塗装職人の阪本亮さん。この養生に1時間半をかける、そして各持ち場にペンキや作業道具など準備万端整った後、口時頃にいよいよ塗りの開始だ。
参加した生徒たち、初体験や経験の浅い保護者や先生たちは最初は恐る恐る刷毛を動かす。ところが数年経験のおやじの会メンバーなどは手早い。
「なかにはプロはだしの人もいます」と中島さん。初心者は経験者に教わりながら、にぎやか、なごやかのスタートだったが、次第に塗装に集中、作業は黙々と進んでいく。
いまや欠かせない行事 市内外からも見学が
腰越中学校の校舎ペンキ塗りは、腰越中おやじの会が平成14年夏に始めた。
この会はPTA会長だった中島さん達が、保護者はせっかく仲良くなっても生徒が卒業すればPTAを離れなければならない。活動の場がなくなる。それはもったいないし、さびしいと、PTAとは別のOB会のような組織をつくろうと、平成12年に発足した。「ところが何をやっていいかわからず飲み会が中心。そのうち飲むだけでなく何かやろうということで生れたのが校舎のペンキ塗りだった」と中島さん。
最初は、8人の仲間が校舎内の一部を塗ったが、素人ばかりでアチコチ汚して不評だった。しかし、当時の金井校長がその活動を評価し、翌15年は卒業記念の一環として卒業生もペンキ塗りに参加。在校生、PTAなども加わる今のスタイルになったのは平成16年からで、今年が11回目。いまやおやじの会とともに全国でもめずらしい活動とし市内外からの見学もある。
この日も、宮城県から鎌田勝彦さんが参加。昨年おやじの会主催の公開授業で東日本大震災被災者の立場で講演とした縁で、「ぜひ体験してみたい」とはせ参じたのだという。
明るく仕上がり満足そうな顔、顔
午前の作業が終了、調理室ではお母さんたちが作ったカレーとみそ汁が待っている。
午後の作業は1時から。午後の参加者もいるので多目的ホールで打ち合わせの後、各持ち場に分散。すでに粗塗りの終わった個所をていねいに塗る仕上げ作業。
3時30分、生徒は自らの道具を片付け、解散。そのあとは、大人が最終確認をし作業終了は4時。
この校舎ペンキ塗りは昨年一巡、今年から2巡目ということで、養生のシート、テープ、作業道具などが片付いたあとの廊下は、さらに磨きがかかって、新校舎と見まがうほど。作業を終え満足そうに眺めるどの顔も輝いていた。
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