鎌倉生活 2012年 12月10日号 1ページ  
 

   期間中はファミリー割引も 

 12月に入ると街中はクリスマス1色。今年は政党乱立の衆議院選挙も重なり、年の瀬は慌ただしさに拍車がかかる。そんな中、鎌倉文学館も昨年からクリスマスイベントに打って出た。その名もズバリ、「鎌倉文学館でクリスマス」。まずまず好評ということで、「昨年は2日間でしたが、今年は10日間に拡大しました」と学芸員の山田雅子さん。
クリスマスイベントサービスとして、期間中クリスマスファミリー割引を実施する。中学生までの子供連れの家族は、子供が無料だけでなく、大人1名も無料となる。

  漱石、芥川、太宰から現代作家の作品まで 

  常設展示室ではクリスマス特別展示が。展示室をクリスマス用に飾り付け、文豪のクリスマスにまつわる作品など約10点が展示される。「作品の中でクリスマスをどのように描いているかを味わっていただければ」と山田さん。
たとえば、太宰治は「メリイクリスマス」という作品もあるし、「ヴィヨンの妻」でもクリスマスを描いている。芥川龍之介は「少年」〜思い出のクリスマス〜で次のように描く。
『カフェの中央のクリスマスの木は綿をかけた針葉の枝に玩具のサンタ・クロウスだの銀の星だのをぶら下げている。瓦斯暖炉の炎も赤あかとその木の幹を照らしているらしい。きょうはお目出たいクリスマスである。
「世界中のお祝するお誕生日」である‥・』
明治、大正時代もクリスマスはかなりポピュラーだったようだ。
ロンドンに留学中の夏日漱石は妻の鏡子へ宛てた手紙で、初めて体験したクリスマスを次のように書く。
『昨日は当地の「クリスマス」にて日本の元日の如く頗る大事の日に候 肯き柊にて室内を装飾し家族のものは皆其本家に聚まり晩餐を喫する例に御座候 昨日は「アヒル」の御馳走に相成候』
戸惑う文豪漱石を想像すると面白い。
角野栄子、出口保夫など現代作家の作品もある。文学愛好家でなくても興味深い展示だ。 

  親子で楽しめる影絵づくり   

 文学館でこんなことも、というイベントが12月22日の10時〜12時と13時30分〜15時30分の2回開催される「クリスマス☆シャドーde影あそび」。講師の人形遣いYUKI☆さんの指導で、万華鏡のような切り絵とクリスマス・モチーフのキャラクターに、小さな影絵用のステージを制作し、自作の影絵で遊ぼうという趣向。ライト付なので、家でも楽しめる。
対象は小学生から大人まで。材料費800円。希望者ははがき(〒248−0016鎌倉市長谷1−5−3鎌倉文学館)、メール(bungakukan@kamakura−arts.or.jp)、FAX(23−5952)のいずれかで住所、氏名、電話番号、希望回、参加人数を記入し申し込む。(12月15日必着)応募者多数抽選。
「鎌倉と文学を大事にして、これからも興味深い企画を提供していきたい」と山田さん。
クリスマスでにぎわう街中を抜けて、親子で静かな時を過ごすには絶好の機会かもしれない。

■問合せ・23−3911鎌倉文学館(月休)

 
 
 
     
  本年もご愛顧・ご支援いただきありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお引き立てのほどを−。
皆様、良いお年をお迎えください。

                                   「鎌倉生活」 スタッフ一同
 
   
 
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