鎌倉生活 2012年 11月10日号 1ページ  
 
 
   災害時のボランティアの支援は、被災者にとって救いの手。この両者をうまくマッチングさせるにはどうすべきかの実験が行われる。

 
 

   市・社協・JC 3者の協定で実施 

 あの東日本大震災(3・11)から1年8か月、復興はいまだ道半ばの状態にある。鎌倉市からも多くの市民ボランティアが支援に駆けつけ、また、官民あげての被災者受け入れも行ってきた。今も多くの団体が支援活動を続けている。
 阪神淡路大震災、中越地震 そして今回の東日本大震災、いまや災害はいつでも訪れることを覚悟した防災体制の確立が急務。と同時に、いざ被災した時のボランティア対策もしっかり準備しておくことが不可欠とされる。実は、鎌倉市・鎌倉市社会福祉協議会・鎌倉青年会議所の3者は、平成19年に「災害時におけるボランティアセンター開設と運営に関する協定」を締結していた。阪神淡路大震災、中越地震でのボランティアの活動、受け入れの混乱、なかにはボランティアを名乗っての犯罪もある。さまざまな教訓を踏まえ、いざという時に協力して即応できるボランティアセンターの開設・運営を行っていこうというのが趣旨だったが、実際の活動は行われていなかった。そこに東日本の大震災。これまで想定していなかった津波の被害まで。「やりましょう」ということに。

  必要とされるところに 最適のボランティアを 

  ではボランティアセンターの役割は。混乱の中、被災地はボランティアの受け入れに右往左往する。もし鎌倉が大災害に見舞われたらどうなるか。17万人の市民だけでなく大勢の観光客が訪れ、市内は騒然となる。鎌倉の知名度は高くいざ鎌倉≠ニボランティアは殺到することは十分予想される。「そのようなボランティアをどのように受け入れるか、このボランティアは何ができるのか、市民は何を望んでいるのかを空回りしないようにマッチングさせる。ボランティアセンターはこのマッチング機能を果たすコーディネートセンターなんです」と鎌倉市総合安全部総合防災課の長崎聡之課長は説明する。
 今回の鎌倉市災害ボランティアセンター設置運営訓練は、そのシミュレーションを行い、併せて市民の防災意識を高めようというのが狙いだ。 

  炊き出し体験からボランティア交流まで   

 会場は市役所庁舎前。本部はテントが張られ情報センター基地となる。炊き出し体験として、宮城県女川町復興支援活動から誕生した女川カレー(300食)が無料提供。
 宮城県七ヶ浜町から七ヶ浜ボランティアセンター設置に関わってきた元町議の講演では「生々しい話も聞けるのでは」と鎌倉青年会議所まちづくり委員会委員長の磯部伸夫さん。そして、ボランティア団体などの意見交換会も。
 市内のボランティア活動団体は多いが、横の連携は少なく、それぞれ独自の活動を行っているのが実情。「実際ボランティアで現地に行き支援活動をしてきた人たちは、問題意識をもっているはず。彼らが感じたこと、学ばれたことを披露してもらいディスカッションして情報を共有することによって、鎌倉ボランティアセンターの活動も円滑になります」(長崎さん)。現在10団体約20人が参加する意向。
 また、面白法人KAYACが作成する緊急時ボラセンホームページも開設。

  世代を超えた参加を   

 家族そろって体験してほしいのが起震車。「東日本や中越などの地震を運んで体験できる最新式です。ぜひ臨場感を体験してほしい」(磯部さん)。実際に地震が起きたことを想定し、大人も子供も見て学べる人気アニメ「東京マグニチュード8・0」の上映もある。
 「オール鎌倉の枠組みをつくるためにも世代を超えてたくさんの人が参加してほしいですね」(磯部さん)。震災の恐ろしさを知り、いざという時落ち着いて行動するためにも、見て、聞いて、体験もできる絶好の機会といえよう。

 問合せ/23−3000鎌倉市役所総合防災課

 
 
 
     
     
   
 
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