今年から鎌倉三浦コースも
10月30日の日曜日午前8時、まだ観光客もまばらな高徳院鎌倉大仏境内に十数人のランニング姿の男女が。周辺には「子ども虐待防止オレンジリボンたすきリレー」と書かれたオレンジ色のぼりが並ぶ。
11月は児童虐待防止推進間で、この日は、子どもたちの明るい未来とこども虐待防止の願いを込めたたすきリレーの開催日なのだ。
オレンジリボン運動は、2004年、栃木県小山市で3歳と4歳の兄弟が父親の同居人から何度も暴行を受け、ついには川に投げ込まれ幼い命を奪われるという悲惨な事件がきっかけとなり、二度とこのような事件を起こさないようにとの願いを込め市民団体「カンガルーOYAMA」が始めたもので、児童虐待防止全国ネットワークなどがこの運動に共鳴し、今は全国に広がっている。オレンジリボンたすきリレーもその一つのイベントで、東京・神奈川地域ではこれまで都心、湘南の2コースで行ってきたが、今年から、鎌倉大仏がスタートの鎌倉・三浦コースが加わった。
大仏祈願しスタート
参加ランナーは、市職員、養護施設や御成小・中学校の先生、郵便局員や社協職員、ガーディアンズメンバー、人力車夫など(うち女性が2人)16名。その1人に松尾崇鎌倉市長の顔も。「このリレーで、1人でも多くの方が関心を持っていただければいいですね」と語り準備体操に。
コースは、鎌倉大仏をスタートし、鶴岡八幡宮など6カ所を経由しゴールの山下公園へ。各中継点では子ども虐待防止のための様々なキャンペーンが行われる。
8時30分、大仏に祈願した後、16名のランナーはオレンジのたすきを肩に次の中継地鶴岡八幡宮に向かって飛び出した。
虐待になる前に予防を
近年、子どもに対する虐待は増える一途。命まで失うという事件は年間60件近い。
鎌倉市ではどうか。こどもと家庭の相談室「新規相談における相談数」によると、児童虐待相談数は平成22年度は206件で、20年度189件、21年度112件に比べ急増している。
「子育てに対する親の不安が増大するなか、地域や親族との関係が疎遠となって相談できる人がいないため、おかあさんが1人で抱え込んでしまうことが影響している。そのような状況にならない前にいかに予防するかが重要なんです」
と鎌倉市こどもみらい部こども相談課相談室担当係長の井上和加子さん。
支援組織としては、市のこどもと家庭の相談室の他鎌倉三浦地域児垂相談所、民生委員、こども支援センター、さらに保育園、幼稚園、小・中学校などのほかこども・家庭110番もある。地域の人も、自分は子どもがいないから、よその子だから関係ないという無関心を捨て、地域で子育てするという雰囲気をつくることが児童虐待を防ぎ、減少させるポイントだ。
こども家庭相談室では相談の機会を増やすため、子育て支援センターにも出向き相談に関わるとともに、平日だけでなく月1回(土曜日)の休日相談、毎週水曜日の夜間(午後7時まで)相談も行っている。「その回数を増やすなど今後見直しも検討中」ということだ。
また、お茶を飲みながらママ同士気軽に話し合える場として「ママのトークタイムわかば」も設けている。
「とにかく1人で悩まないこと。虐待では、子どもの様子がおかしいと感じたら、あるいは子どもをたたいてしまいそうと思ったらとにかく連絡、相談してほしい」と井上さん。
いつの時代も子どもは宝、虐待ゼロの願いを込め、オレンジリボンたすきリレーは、15時30分山下公園にゴールした。
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