鎌倉は路地のまち。賑やかなメインロードを一歩入るとひっそりした生活空間、自然空間に出合う。この魅力に誘われて、さまざまなアーティストが活動。点在するアートを楽しみながら、新しい鎌倉を体験してみるのも面白い。
カジュ祭から発展
2006年から始まった路地フェスタも今年で5回目。
その生い立ちを辿ると、二階堂の荏柄天神社手前の路地を入った一軒の古い日本家屋に辿り着く。ここが、貸し教室の運営、アート系イベント企画などを行っているカジュ・アート・スペースの拠点。主宰者の染織家・たなか牧子さんが雑草に覆われ空き家になっていたこの古民家を発見″、自らの仕事場はここだと決めた。それが今は、たなかさんの手織・手染め・手紡ぎ教室始め、ピアノ、ヴォーカル、こども造形、絵画、身体操術等の教室、はてはワインアカデミーから建築相談まで行う地域のアート施設に生まれ変わった。
「最初は私たちの活動を知ってもらおうとゴールデンウイークに文化祭(カジュ祭)を始めた。
それが1997年。そのうちこの近辺にもカフェが増え、一緒にやろうと声をかけたのが始まりで路地フェスタにつながっていったということです」とたなかさん。
今年14回目のカジュ祭は路地フェスタの一環として、4月29、30日、5月1日の3日間開催する。
歩いてほしいので点在型に
路地フェスタは、「アート」、「路地」、「鎌倉らしさ」、「暮らし」がテーマ。エリアは、鎌倉駅周辺から小町〜二階堂をつなぐ路地。「車で来てグルッと回ってみるのではなく、鎌倉を歩いてほしい。まちを歩くと良いこと悪いことも見えてくるんです。あまり広いエリアでは廻りきれないですし、疲れてしまう。アーティストの発表の場も、だから点在型にしているんですよ」。
当初は9店舗が参加。
それが昨年は26店舗と増えたが、今年は18拠点に絞り、あくまでも歩き回れるエリアにこだわる。
アーティストと一緒に 楽しんでほしい
イベントも多彩。鎌倉駅、若宮大路周辺エリアのカフェ鎌倉美学では、石彫・漆アクセサリー作品展や日替りイベント開催、bowlsでは自由が丘の柄の測り売りギャラリーの出張展示、雪ノ下、二階堂周辺エリアでは、グラスビーズ工房くりくらでとんぼ玉の制作体験(要予約)、RUSTlC
TWENTY SEVEN鎌倉ショールームがイラストレーター吉田美穂子作品展、井上智陽イラスト工房では水彩絵の具を使い美食スケッチ体験、銀の鈴ギャラリーは平松礼二「かまくら散華」原画展示コーナー、西御門サローネは佐藤博次郎氏のスライドショー語り&KAZZの生演奏など。カジユ・アート・スペースは地域アーティストの作品展示販売、ワークショップ、フリーマーケットなど。つつじ庵では土井章子作陶展等々、楽しめるイベントがアチコチに。「アーティストにとっても発表の場。一緒に楽しんでいただきたい」とたなかさん。
古民家にも注目
そして、鎌倉には古い日本民家がまだ多い。先の銀の鈴やつつじ庵も日本民家を開放しギャラリーにした。袋と帽子などをつくる柿沼ん家も同様。西御門サロトネも旧里見ク邸。こうした古民家をなんとか残せないか。鎌倉古民家バンクでは古民家の再生活用に取り組んでいるが、期間中古家の活用相談を行う。
(要予約)古民家めぐりレクチャー会も開催されるとか。
「古民家は年々少なくなっている。残念です。皆がかっこいいと思えば残っていく。関心をもってもらいたいですね」。
ユニークなのは、さかい内科・胃腸科クリニック。「食を見直そう」と日本の主食であるお米を使い昔懐かしいボン菓子機を実演。売り上げはすべてWFP(国連世界食糧計画)に寄付するという。
荏柄天神参道ではパホーマンスも。そして、鎌倉宮・太平殿ではおおたか静流+うっちゃんたのライブ(5月1日・要予約)も行われる。
■問合せ 鎌倉路地フェスタ事務局 TEL 32−3363
ホームページ www.roji-kamakura.net |