鎌倉生活 2009年11月10日号 1ページ  
 
  第21回鎌倉市緑化まつりの第二会場として鶴岡八幡宮境内で鎌倉造園界主催の庭園展示会が開催されている。庭師の腕のみせどころとあって力作ぞろい。秋日和の中、和風庭園の美を味わってみては…。

   鎌倉造園人発表の場 

  鎌倉には約100の造園業者がある。そのうちの40社が参加し設立されたのが鎌倉造園界。同組織は平成18年『800有余年の歴史を踏まえた伝統技能の伝承と新しい技術の習得を行い、「新たな造園空間の創造」が、我々に課せられた使命』と謳い、『「鎌倉造園人」の意識を高揚させて、「鎌倉の造園」を一般化して世界遺産に恥じない共通認識の造園スタイル(様式)の確立』をめざし設立された。
 昨年に続き、八幡宮流鏑馬馬場で開催されている庭園展示会は、鎌倉造園人″にとってはまたとない発表の場だ。日頃鍛錬してきた技と感性によって創造された9社12作品が展示されている。

   自然を切り取って創る世界 

   各スペースは2.7mX3mと、庭としては狭い。この空間を使っての庭づくりは、庭師にとっても腕の見せどころ。流鏑馬馬場にずらりと並んだ庭園は、それぞれの個性が集約されている。といっても「芸術作品とは違います。手本はあくまでも自然であって、その自然を切り取って思いのままにつくるのが日本の庭園だと思うのです」と、この日の案内役、津田造園の津田一郎社長。
 今展示会に津田造園からは、この道30年のベテラン松本隆司さんの「秋のかまくら」、脂の乗り切った40代・蜂谷道和さんの「鎌倉の点景」、そして20代の女性庭師・岩沢友香さんの「緑のこみち」と3名が出品しているそうだ。見ると、それぞれの作品の違いがわかって面白い。

   小さな空間の世界いろいろ 

  小さな空間に創られた庭師の世界を見て歩くと。
 静寂な雰囲気が伝わる「和」(泉山園・蒲幸枝作)や「谷戸の景色」(梅田園・梅田裕作)はいかにも鎌倉らしい庭。
 「伝説」(庭匠梅沢・梅沢保雄作)、「竹取物語」(京浜植物園・安田秀正作)の両作品は、物静をイメージ化した庭園。
 「日常の情景(森林浴を感じ…)」(新緑の会・安斎志郎作)、「古都鎌倉と現代庭園の融合」(藤沢造園組合・安藤忠雄作)、「水上の庭」(岩崎造園・岩崎積作)は、くつろぎ感が。
 「あすへの庭」(植正庭苑緑化・家内重明作)は斬新。ユニークなのは足湯をしつらえた「やすらぎの庭」(松村庭園設計・松村邦男作)。
 会場ではアンケートをとっており、そのデータなどを参考に大賞、アイデア賞、技能賞などが選ばれる。果たして12作品の中から栄誉に輝くのはどれか。結果が楽しみだ。

 
 
 
     
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