鎌倉生活 2009年7月10日号 1ページ  
 
   7月4日土曜日、市役所第三分庁舎講堂で、「鎌倉市市民活動センター運営会議」と「犯罪から鎌倉を守る会」主催の「子どもを犯罪から守るために!」のフォーラムが開催された。子ども対象の事件が相次ぐだけに、会場には100人を超える人たちでいっぱいに。

   地域の子どもは地域で育てる 

  まず、犯罪から鎌倉を守る会会長の大津定博さんの基調講演から。
  「よそさまの子どもも自分の子どもと同じように育てる地域づくり」に取り組み、少年犯罪がこの10年間で18%も減少した鹿児島市の紹介に続き、長崎駿君殺人事件、奈良児童殺人事件の報告。幼い子どもがどうして誘拐され、殺害されたかの詳細な報告に参加者は真剣に聞き入っていた。
  「地域の子どもは地域で育てる取り組みがいかに大事かと言うことです」と大津さんは力を込め、それを実践し成果を上げている西鎌倉の人達によるパネルディスカッションへ。

   見守りから交流に 

 「学校だけの教育は限界がある。地域と連携し、地域の力をもらいながらの教育」を誇る手広中学校校長の斉藤美代子さん。子ども達を地域の人たちで見守り、育て、命を育んでいこうという思いから誕生したのが「柞の森音楽祭」。今では手広中学校の吹奏楽部、地域の幼稚園児から85歳まで参加する合唱団、フラダンスなど楽しい地域のイベントとなっている。
  西鎌倉小学校校長の中野喜夫さんも、「毎朝7時30分から通学路を地域の人たちが見守ってくれる。子どもの名前から性格までよく知っているんです。こういう地域で子ども達は育っているという安心が大きい」という。
  西鎌倉地域教育懇談会は約5000世帯、10の自治会、町内会があり、各組織の代表40人で構成。「学校と地域社会をつなぎ、子ども達を健全に育てるためにさまざまな行事に子どもから大人まで参加するようにしている」と青木克忠会長。防犯パトロールや犬の散歩も、自然に、下校時間に合わせて行う地域になっているそうだ。
  西鎌倉小学校の門前町を自称する「西鎌倉山防犯を考える会」では、住民を6つのグループに分け、1日2回パトロール。1週間交替で年中無休。自発的に、楽しく、永続させようが3本柱という。「35〜40分、約6000歩。いい運動にもなりますし、歩く井戸端会議″と呼んでいるんですよ」と元会長の小早川正幸さん。時には、子どもも参加、防犯教育の一環に。
  西鎌倉住宅地自治会では、これまで防犯パトロールをボランティアが行っていたが、19年から自治会も参加。「役員は必ず参加のmust″であることを会則に明記、昼夜分かたず毎日パトロールしています」(手島廉幸会長)。
  また「防犯パトロール実施中」のステッカーを門などに貼っている。
「これが効果的」。老人会と子ども会による助け合いの会も生まれ、美化運動にも取り組んでいる。「街がきれいなところは犯罪も起きませんよ」。

   大きいお父さんの役割 

 参加者で一番若い新鎌倉自治会前会長の石丸雄嗣さんは、あいさつによる防犯に取り組み、防犯セミナーやあいさつ運動を開催した。犯罪者はお父さんを恐れるということで、友人のK−1選手にも参加してもらいお父さん対象に「犯罪者からのディフェンスセミナー」なども開催している。
  このような地域ぐるみの活動が、防犯という目的を超えてふれあい、楽しむ、助け合う交流の町になっている。これが地域力″ということなのだということを実感。予定時間をはるかにオーバーし、フォーラムは熱気の中で終了した。
■犯罪から鎌倉を守る会 TEL090-9814-0696(代表・大津定博さん)

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