鎌倉生活 2009年6月10日号 1ページ  
 
  “ス力線”の愛称で親しまれる横須賀線が開業してこの6月16日で120周年。そこで、横須賀駅やヴェルニー公園を中心に各駅でも120周年記念イベントが企画されている。

   軍用鉄道から生活基幹線へ 

 明治22年6月16日、大船−横須賀を結ぶ単線鉄道が誕生。軍港を擁し、兵站基地として横須賀は重要な軍事拠点であり、物資や兵員を運ぶ鉄道として建設された。全長16・2キロ、この間の停車場は、大船、鎌倉、逗子、横須賀の4駅。その後、北鎌倉、東逗子、田浦の各駅が生まれ、衣笠、久里浜まで横須賀線も延長された。いまでは総武線とつながり市民生活に欠かせない首都圏の一大幹線となっている。
  今回120周年を迎えたのは開設時の4駅。横須賀線畑周年にちなんでJR東日本では6月13(土)、14日(里を中心に横須賀駅とヴェルニー公園をイベント会場にさまざまな催しを企画。鎌倉駅関連でも鎌倉駅だけでなく、地元商工関係者もス力線″120歳の祝いを始めている。

   記念誌の発行 

鎌倉駅長・加藤芳美さん

 鎌倉では商工関係者を中心に、横須賀線120年実行委員会(委員長・高柳英麿氏)が発足し、「120th anniversary 横須賀線 大船駅・鎌倉駅」(非売品)を刊行した。「横須賀線誕生」に始まり車両の変遷、各駅のあゆみ、横須賀線と文学、鉄道唱歌と横須賀線、その他、古い写真、エピソードなどが集められ、資料としても読み物としても楽しめる。「歴史から駅の変遷まで横須賀線に関する情報が集約され大変貴重な本となっています。駅には昔の資料がないので本当に有難いですね」と53代目鎌倉駅駅長の加藤芳美さんも喜ぶ。
  鎌倉駅東口前のカトレヤギャラリーでは写真展「横須賀線を巡る−沿線の動脈120年」が開催(6月18日まで)中。地元の鉄道愛好家から募った約70点の写真や図版、時刻表、グッズなどが展示され、鎌倉駅、大船駅など120年の変遷を紹介している。人気は、昔懐かしい記念乗車券やパンフレットの120円セール。鉄道フアンが競って買っていた。(セール日は聞合せを。同ギャラリー23−2530)
鎌倉駅も展示や子ども向けサービスなど鎌倉駅でも13(土)、14(日)に写真展を開催(6月いっぱい予定)。また、社員から募った国鉄時代のオレンジカードやイオカード、スイカ、記念乗車券などのポスターやパネル、鎌倉駅闇年の歴史年表も駅構内に展示する。
利用者サービスとしては、記念のしおり、車両横に各々鎌倉・大船と駅名の入った2枚セットの記念ペーパークラフトを配布(枚数限定)。これも社員の手作りとか。
さらに、子ども向けに電車の塗り絵の募集、展示。「描いてくれたお子さんには今秋デビューするN・EXの写真をプレゼントします」 (加藤さん)。駅機の鎌倉車両センターでは、寝台列車「出軍「瀬戸」のヘッドマークや横須賀線拡大パネルがセットされ、子ども用の駅長帽も用意してあるので駅長気分で記念写真も。イベント期間中は、加藤さんも白い駅長服姿に。記念撮影も「気軽にどうぞ」ということなので、声をかけてみてはいかが。6月16日には、ミス鎌倉も一日駅長で登場するとか。

   イベント列車もやってくる 

 鉄道ファンにとって見逃せないのがイベント列車の鎌倉駅発着。
  6月27日(士)、28(日)両日、旧型車両の「レトロ横濱」号(運転区間 横濱〜横須賀)が走る。
  7、8月には「いろどり」(甲府)、「ニューなのはな」(上総一ノ宮)、「せせらぎ」(高崎)、「宴」(宇都宮)、「ゆう」(勝田)と、鎌倉着・発のイベント列車が次々やってくる。鉄道ファンならずとも楽しみだ。

 「ス力線よありがとう」

豊島屋会長 久保田雅彦さん 

 鎌倉の近代化はス力線の開通によって始まったのです。それまでは半農半漁の寒村だったのですですよ、鎌倉は。高級将校が住み、別荘ができ、鎌倉文士も集まった。鎌倉夫人がホームにたたずんで…。こんなハイカラな街に生まれ変わったのも、横須賀線の開通があったからです。それが今は次第に忘れられつつある。残念ですね。なんとか語り部を残したい。
「ス力線よありがとう!」なんですよ。(談)
 
   
 
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