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「『食道楽』の人 村井弦斎」と
著者の黒岩比佐子さん
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新年1月19日から、神奈川県立近代文学館で
展覧会や各種イベント開催
明治・大正期のベストセラー「食道楽」の作
家・村井弦斎関連の催しが、2008年1月か
ら県立神奈川近代文学館で開催される。飽食
の時代といわれる現代、食にまつわる事件が
相次ぐ中、トコトン食にこだわった弦斎に教
わるところも多いのでは。
嫁入り道具にもなった 『食道楽』
「食道楽」の主人公・大原満は、食べることがなによりも好き、彼が食べ、語り、作るなど登場する料理はなんと和洋中600種類以上にも。この本は当時、嫁入り道具の必需品とされたとか。
弦斎は印税で平塚に広大な土地を確保し、野菜園、果樹園や数百羽の鶏、牛、羊を飼い、邸には八百善など有名な料理人が招かれ、料理に腕をふるうのはもちろん、新しいメニューも創作するという入れ込みようだった。
また、「食道楽」のほか多くの啓蒙小説も発表しており、家庭生活の改善・合理化を提唱し、かっぽう着の考案者でもある。晩年は、木曽の山中で木の実を捕って生活、独自の栄養学の研究に取り組むなど“奇才”ぶりも発揮、昭和2年、動脈瘤により65歳で世を去った。
弦斎ゆかりの地・平塚には村井弦斎公園や弦斎通りもあり、秋には村井弦斎まつりを開催し、弦斎料理教室や弦斎再現料理などさまざまなイベントで盛り上がっている。
県立神奈川近代文学館には、長女の村井米子さん(登山家としても有名)や曾孫の吉田淑子さんら遺族から3530点もの弦斎資料が寄贈されている。
2007年は弦斎没後80年にあたる。そこで、新年1月19日から収蔵コレクション展として「『食道楽』の人 村井弦斎」を開催することになった。
体験イベント、講演、 朗読と盛りだくさん
同館では展覧会と併せて、次のような行事も企画している。
■「食道楽」体験イベント1月26日(土)14時〜 料金500円 ※電話またはE-mail(soum@kanabun.or.jp)で申込み。1/16締切。会場・展示館2階中会議室
展覧会の解説と『食道楽』ゆかりの食品の試食・家族合わせゲームの体験で、しばし弦斎ワールドに浸ってみては。
■記念講演会「『食道楽』と日露戦争」2/2(土)13時30分〜 先着220名
展示館2階ホール 料金800円 ※チケットは同館ミュージアムショップで販売 郵便振替での申込みも可(詳細は電話で)
「『食道楽』の人 村井弦斎」の著者・黒岩比佐子さんの講演。本書は、04年のサントリー学芸賞を受賞。
■語りと音楽「花音」朗読コンサート 2/16(土)14時〜 展示館2階ホール 無料 ※往復ハガキ(1人1枚、1/18必着)申込み
『食道楽』これだけ面白い人なのにあまり知られていないんですね。これを機会にぜひ弦斎を知ってほしい」
と、(財)神奈川文学振興会企画普及班の齋藤泰子さん。
■詳細は・県立神奈川近代文学館
〒231−0862 横浜市中区山手町110 045−622−6666へ。
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