鎌倉は俳句のまち。開放的な句会も多い。なかでも実朝俳句会は最古参では。
ぼんぼりまつりの一時、俳句をひねってみるのもいいのでは・・・。
歌人実朝を偲んで昭和2年に始まる
夏の鎌倉はさまざまな行事がいっぱい。鶴岡八幡宮も8月7日から9日までの3日間、鎌倉の夏の風物詩として親しまれている“ぼんぼりまつり”でにぎわう。
その初日が夏越祭。実朝祭奉納俳句会もこの日の開催。鶴岡八幡宮が主催する俳句会は4月の頼朝祭俳句会、8月の実朝祭俳句会、10月の文墨祭俳句会と年3回あるが、なかでも歌人将軍実朝の遺徳を偲ぶ実朝祭俳句会は、今年が66回と最も古く、由緒ある句会だ。
昭和2年、実朝に傾倒する実業家であり俳人だった菅裸馬(本名礼之助)が、源実朝を偲んで開催したのが始まりという。
兼題は「実朝祭」「神苑嘱目」「土用波」
会場は鶴岡八幡宮の直会殿。初穂料(千円)を納め、筆記用具持参すれば誰でも参加できる。
投句は午後4時から5時までの1時間で、1人3句までとなっている。兼題は、例年出される「実朝祭」「神苑嘱目」(八幡宮にまつわるもの)と新題「土用波」が加わる。今年の選者は、清水基吉、星野椿、原和子と鎌倉在住の俳人3氏。
全投句は清書され、選者による選考が始まる。この間約2時間。参加者にとってこの時間が「たまらない」そうだ。投句を終えた開放感、達成感。会場を出れば、境内では様々な催しが・・・。舞殿では日本舞踊、吹奏楽、箏曲などが披露され、野点も開かれている。そして夕闇せまる頃、鎌倉在住の文化人はじめ各界の著名人が揮毫したぼんぼりに灯りが点される。
戦後間もなくこの会に参加し、今はこの会を主催する鎌倉俳句会の代表宮崎節子さんも、「句会は立秋の前日。皆さん、ぼんぼりまつりを楽しみながら、涼みがてら参加される方も多く。楽しみにされているようです。」と、その魅力を語る。
投句作品は実朝祭に献上
やがて境内放送で選考終了、参集をという案内が。この時は皆さん、どきどき、わくわく。八幡宮賞、宮司賞、市長賞、市議会議長賞、観光協会長賞等々、賞も盛りだくさん。
入選者には、選者直筆の色紙が授与される。
「投句された全部を半紙に清書、一冊にまとめ、9日の実朝祭に献上されます」(八幡宮権禰宜 依田信也さん)。
多い年は100名を超える参加者があったようだが、ここ数年は毎回70名ほどで寂しい。「どなたでも気軽に参加してほしい。とくに、若い人の参加を期待しています」(依田さん)。
境内に灯るぼんぼりをながめながら一句、といった風雅なひとときもいいのでは。
<問合せ先>鶴岡八幡宮(22-0315) |